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「認識」で、健康な暮らしの可能性を見出す

 

高齢者約5,000人を追跡調査した東京都健康寿命医療センターによれば、一日5,000歩(うち7.5分速歩き)で認知症や心疾患に、7,000歩(うち15分速歩き)でがんに、一定の予防効果が確認できたという。

国の健康づくり計画でも、65歳以上の男性の一日の目標歩数を7,000歩に、女性では6,000歩に設定している。

健康長寿の秘訣は、まず歩くことから、とウォーキングを日課にしている人も多いのではないだろうか。

先日、運動シューズ等をつくる会社で、歩き方を測定してもらえる機会があった。
センサーのあるマットの上を数メートル歩くと、歩く速さや歩幅が測定される。
そのとき受けた歩くときのポイントが興味深かった。

それは、
「肘を引くこと」
「なるべくスピードを意識して歩幅を広げること」
「かかとから着地すること」
だった。

歩くポイントの認識が、健康寿命の延伸に効果があるようだ。

「マインドフル・ボディ(エレン・J・ランガー著/徳間書店)」で、著者は「健康状態を決める重要な要素は、認識である」という考え方と方法について語っている。

いくつかの研究事例が紹介されている。
例えば、
・仕事を運動と認識することで、体重が減り、血圧が下がる事例
・ストレスは、そのものより「ストレスは有害」という認識の方が有害である事例
・睡眠不足だという認識を持つと、脳は実際に睡眠不足であるかのように働く事例
・・・等だ。

様々な認識で、健康な暮らしの可能性を見出すことができそうだ。
今日から試してみることにしよう。

「自分らしい充実した人生」のための「生きかたのヒント」

古代インドでは、人生を4つの時期に区切る考え方があったと言われる。

25歳までの学びや心身の鍛錬の時期は「学生期(がくしょうき)」。
50歳までの就職や結婚、子育て等の時期は「家住期(かじゅうき)」。
その後の25年ずつを「林住期(りんじゅうき)」「遊行期(ゆぎょうき)」と呼ぶ。

「林住期」は「森や林に住むように、自分らしく自由に生きる時期」で、「遊行期」は「遊ぶように何者にも囚われない人生を締めくくる大事な時期」だ。

なるほど。
私は今まさに「林住期」なのか、と思いを巡らせる。
自分らしい充実した人生を送りたい、と願う。
そのためにも、心身ともに健康であり続けたい。

90歳を超えても医師として活躍された日野原重明氏の「生きかた上手(ユーリーグ)」というエッセイ集に、よりよい生きかたのための様々なヒントが綴られている。

そのひとつが呼吸法だ。

ポイントは「吸うよりも吐くことを意識する」だ。

現代人は心身のストレスのため呼吸が浅くなりがちで、深呼吸が大切だと著者は語る。
フーッと息を吐いて、吐いて、肺の中を空っぽにすることがコツ。
息を吐ききってしまえば、吐くことをやめた瞬間、空気がたちまち胸の中に流れ込んでくる。これが健康によい呼吸法。

さらに著者は続ける。
「からだに良い呼吸法は、そのまま、よい生きかたに置き換えられる。心の健康のためには、自分の力を人のために存分に使うことが一番」と。

自分らしい充実した人生に向けて。
一日一日に感謝しながら、できることから一つひとつ実践していきたい、そう感じた。

より良い方向に進むための「コツ」を考えることの大切さ



読売新聞に、公衆衛生学者、林英恵さんの印象に残る記事があった。

不健康な生活習慣がやめられないのは、意志が弱いからでも、努力が足りないからでもない。
健康習慣づくりには様々なコツがあり、一つは環境の力を味方につけること、という。

例えば、スナック菓子をやめられない人は、部屋の見えるところに菓子を置かずに、果物などを置いてみる。
きちんと睡眠を取りたい人は、スマートフォンを手の届かない場所で充電してみる。

実践のためのコツを意識して、小さなことから具体的に試してみることで、道が開けるかもしれない。

以前、メンタルヘルスセミナーを聴講したことがある。
人は、どんな時にストレスや怒りを感じるのだろうか、という問いがあった。
それは、自分の「こうあるべき」という常識を裏切られた時に多いそうだ。

なるほど。
「こうあるべき」という「べき」の拘りが強いほど、ストレスは増すのかもしれない。

さらに講師は続けて、「良好な人間関係を築くための会話のコツがある」と語った。

そのキーワードは「事実」「気持ち」「提案」だ。
事実を伝えた後、自分の気持ちを表現し、次に解決のための提案をすることで、お互いが分かり合え、良好な人間関係が保たれる。

例えば、共働きの夫婦で、今日の夜は夫の食事当番だったとする。
だが、残業で疲れて帰り、ソファでうたた寝をしてしまった。
食事の用意ができていない状況で妻が帰宅し、第一声が「えっ、まだ用意できてないの?」
この時、夫は、何と答えるだろう。

「事実」「気持ち」「提案」という会話のコツを使ってみよう。

○○時まで残業があって、帰宅が遅くなったんだ(事実)。
帰宅してから思わずうたた寝をしてしまった。今日、とても疲れてるんだよ(気持ち)。
今日は、当番を変わってくれないかな(提案)。

「事実」「気持ち」「提案」の中で、一般的に人は「気持ち」を伝えていないことが意外に多い、と講師は語る。


「お互いにコミュニケーションを大切にしよう」と漠然と投げかけるよりも「事実・気持ち・提案という会話のコツを試してみよう」の方が、より良い方向に進むかもしれない。

ちょっとした様々なコツがありそうだ。
小さなことから試してみたい、そう感じた。

夢を叶える思考と実践

 

あと数日で、新たな年が始まる。
来年の夢や目標を描いてる人も多いのではないだろうか。

緩急自在なドリブルを武器に活躍するサッカー日本代表三笘選手は、著書「VISION 夢を叶える逆算思考(双葉社)」で、夢を実現するためのヒントをつづっている。

そのキーワードは、タイトル通り「逆算思考」という考え方だ。

小学生でJリーグ川崎フロンターレの下部組織に入った三笘選手
毎週、サッカーノートを提出し、目標設定を重ねた。
プロになる夢から逆算して中期的、短期的な目標を導き、今やるべきことを明確にした。

その思考法で練習を重ねた三笘選手は、体の小さかった少年時代にドリブルを磨いた。
高校を卒業し、即プロ入りせず大学へ進学したのは、長期的ビジョンで計画的に「強み」を伸ばすためだった。
限られた選手寿命の中でのタイムマネジメントの徹底した姿勢に学ぶ点が多い。

タイムマネジメントと言えば、廣津留さんの著書「超・独学術(KADOKAWA)」も印象的だ。
廣津留さんは、ハーバード大学ジュリアード音楽院を首席で卒業し、現在、ヴァイオリニストと起業家として活躍している。

本には結果を出すためのポイントが明快に綴られていて、特に印象に残ったのは次の3点だ。

・学びは、各論に入る前に、全体の流れを一通り見ること。
・todoリストで、一つひとつ達成した喜びを感じること。
タイムマネジメントを大切にすること。特に、5分刻みで自己管理すること。

特に3点目の「5分刻みの習慣」によって、意図的に短時間で脳を働かせると脳にクセがつき、素早く考えられるようになる、という。

様々な本から学びや刺激になる点が多い。

何事も「無理だ」ではなく、「自分なりに挑戦してみよう」から始めたい。

「文化の日」に想う、「言葉」の大事さ

 

今日は「文化の日」だ。
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことが趣旨の国民の日で、1948年に制定された。
学園祭や美術館、コンサート、伝統工芸の体験会など、文化を体験する人も多いだろう。

9月末、文化庁が、全国の16歳以上を対象に実施した「2022年度 国語に関する世論調査」を公表していた。AED自動体外式除細動器)やSNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)といったアルファベットの意味がわからず、困ることがあると答えた人が80%を超えたという。

「異様だと感じてあきれる」の意味で、「引く」という言葉を使う人は約70%。
「気に入って応援している人や物」の意味で、「推し」を使う人は約50%。
「どうしようもなくなった」の意味で、「詰んだ」と使う人は約30%。
逆に「詰んだ」の言葉が気になる人は30%を超えた。

自分が、その言葉を知っていても、相手が知らないこともある。
世代や場面に応じて、大事に選ぶように心がけたい、そう感じた。

今年話題になった言葉を選ぶ「2023ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語が昨日発表された。

その中に、ワールド・ベースボール・クラシックで話題になった大谷翔平選手の「憧れるのをやめましょう」があった。

スター軍団であるアメリカを前にした試合直前で、大谷選手は「憧れるのをやめましょう。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう」と。

侍ジャパンの栗山前監督は、「致知10月号(致知出版)」での対談で、こう振り返っていた。
「試合前の円陣で誰が話すか決まっていなくて、コーチが急に指名するんです。その中で、パッと言ったので、僕らも選手たちも、すごくインパクトがありました」と。
そして、こう続けた。
「正直、アメリカとの決勝戦の直前練習の時に、そういう空気があったんですよ。誰もが知っているスター選手たちを目の前に、写真撮って、とか」と。
大谷選手からかけられた、この「言葉」が侍ジャパンの発奮につながったのだ。
この瞬間の、この場面で発する言葉の力を感じる。

「言葉」は人と人を結ぶ。
聞く人に優しく、人の力になる言葉を大事にしたい。

「スポーツの日」に想う、「自ら考える力」の大切さ

 

今日は「スポーツの日」だ。

もともとは「体育の日」という名称だった。
2021年、東京オリンピク開催をきっかけに、教育的な意味合いが強い「体育」から、体を動かすという、より広い意味合いと、世界的にも親しみのある「スポーツ」に名称変更した。

祝日の内容も、「体育の日」の「スポーツに親しみ、健康な心身を培う」から、「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」に改められた。

今年の7月末、山口県萩市で、部活動の民間移行のための指導者育成研修が行われた。
その講師は、駅伝の指導者で有名な青山学院大学陸上部の原監督だった。

「上からの押しつけは、先生に怒られないようにする、という姿勢を生み、自分で考えて課題を解決する力が身につかない」と語る原監督。

原監督自身、中学の頃から、走れ、と言われてひたすら走ってきた世代。
中国電力の陸上部を退部して社員になった時、スポーツで培った経験で仕事に生かせるものが少なく挫折感を味わった、という。
スポーツでしか通用しない経験だとしたら、何のためにスポーツをするのか。
大きな疑問を感じた、という。
目標から逆算して計画を自ら考え、仲間とともにチャレンジすることで成長の喜びや手ごたてを実感できていたとしたら、そのスポーツの経験は、仕事にも大いに生かすことができていただろう、と。

あらためて、「やらされ」ではない「自主性」の大切さを感じる。
スポーツを介して「自ら考え、仲間と相談し合いながら、チャレンジする」ことが、純粋にスポーツを楽しむことにつながり、その経験が人生にも生かせる、そんな気がする。

原監督は、こう語り続ける。
「押しつけの指導を変える。自ら考える力を養う指導を。そのためには、前向きな言葉をかけてほしい」と。

「敬老の日」に想う、「大切な人とのつながり」

 

総務省敬老の日に合わせ、65歳以上の高齢者の推計人口(15日現在)が3,623万人だったと発表した。
総人口に占める割合は29.1%と過去最高となった。
平均寿命は男女とも80歳を上回り、100歳以上の人は9.2万人を超えた。

高齢になってから起業したり、新たにチェレンジする人も多いと聞く。
「65歳以上は高齢者」と、年齢でひとくくりにする捉え方は現実的とは言えない気がする。

「グッド ライフ(ロバート・ウォールディンガー/マーク・シュルツ 辰巳出版)」で、著者は、幸福な人生について綴っている。

ハーバード成人発達研究は、人々の健康と幸福を維持する要因を解き明かすため、84年間、追跡調査を行ってきた。
そこで発見した「身体と心の健康、長寿との関連性」のポイントは「良い人間関係を育むこと」だった。
良い人間関係と長寿には強い正の相関があり、幸福な人生を動かすエンジンは、「人とのつながり」だという。

さらに著者は、良い人間関係を育むための方法を提案している。

それは、相手に今まで以上の注意を向けること。
注意を向け、気を配ることは、その瞬間を生きている相手を尊重し敬意を払うこと。
そして特に大切な人とは、定期的に連絡を取り合う等、注意が途切れない時間をつくること。

今日は、敬老の日

大切な人の声を聞くことにしよう。