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カップヌードル発売50周年。人気の3つの秘密は「自分色」「一体感」「挑戦心」

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今年、日清食品カップヌードルが発売50周年を迎えた。
半世紀もの間、愛され続け、この4年間は過去最高売上を更新している。

人気の秘密は何だろう。

お湯をかけるだけで食べられる革命的な商品そのものが、人気の秘密だと思うが、別の3つの視点で考えてみる。

1. 自分色

カップヌードルの魅力のひとつは、食べる人が「自分色」に染めることができる点だと思う。

カップヌードルに、卵やキムチ、カレー粉やチーズなど・・・好きなトッピングを選んで「自分色」に染めて楽しみながら食べる人たちがSNS上で広がっている。

カップヌードルで炊き込みゴハンを作ったり、カップヌードルの残り汁で茶碗蒸しを作ったりして、美味しさを堪能している人たちも多いようだ。

カップヌードルという「モノ」と同時に、「コト」を楽しんでいる。

ここで、少し考えてみた。
自分色に染めることができるのは、なぜだろう。

それは、シンプルだからではないだろうか。
自分で楽しめる余白があるからこそ、なんとも言えない自由度が生まれるのだろう。

以前に、カップヌードルミュージーアムに行ったことがある。

そこには、「マイカップヌードルファクトリー」というエリアがある。
自分でデザインしたカップに、お好みのスープと具材を選んで、世界でひとつだけのオリジナル「カップヌードル」を作ることができる。

ミュージーアムでも、一人ひとりが「自分色」に染めて、楽しんでいた。

2.  一体感

日清食品は、発売50周年を記念して、商品を販売している。

2つの味が合体したカップヌードルだ。

商品が決まった経緯がおもしろい。

数年前から、シーフードやカレーなど異なる味付けを混ぜて食べるアレンジがSNS上で広がり、日清食品はこの食べ方を「公認」した。
2つの味の合体版を売り出したのだ。

まさに「お客」と「会社」が一体となって創り上げた、新しい楽しみ方を提案する商品だ。

以前に読んだ「目に見えない資本主義(田坂広志著/東洋経済)」を思い出した。

その本には、「商品を売る側」と「商品を買う側」という対立的な関係ではなく、顧客との一体感を大切にすることの重要性が説かれていた。

この対立的な関係は、顧客を「操作の対象」として見る発想を生んでしまう。
顧客に買わせる「操作主義」という言葉が衝撃的だった、

今一度、「一体感」を心に刻みたい。

3.  挑戦心

創業者の安藤百福氏の時代には、チキンラーメンカップヌードルと、食のイノベーションを実現した。
2代目の時代には、「打倒カップヌードル」を掲げ、「どん兵衛」や「焼きそばUFO」を開発して大きな柱として育てた。
そして今の3代目の時代は、会社を壊すような新たなビジネスに挑戦し、米飯事業「カレーメシ」をヒットに導き、今、「完全栄養食」への可能性を追求している。

壁にぶつかり、もうダメだ、というギリギリの場面が何度も何度もあったようだ。
でも、夢に向かって挑戦し続けている。

「自分色」「一体感」「挑戦心」は、ビジネスシーンだけでなく、人生を楽しむためのあらゆるシーンで大切なキーワードなのかもしれない。

3つのキーワードを胸に、自分のペースで、人生を楽しんでいきたい。

人生・仕事の「V字回復」の秘訣 〜逆転の発想力〜

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カンブリア宮殿」に森岡毅氏が出演していたのを思い出した。

UFJ」や「ネスタリゾート神戸」「西武園ゆうえんち」など、数々の事業のV字回復を実現している、マーケティング精鋭集団 株式会社「刀」の代表だ。

V字回復の秘訣は何だろう、と見入った。

独自の数学マーケティングで分析する「需要予測」の話も勉強になったが、最も印象に残ったのは、「逆転の発想力」だ。

例えば、「ネスタリゾート神戸」の事例を見てみよう。

年金受給者のための保養施設「グリーンピア」のひとつ、「グリーンピア三木」が破綻状態となり、その後、新たな経営主体のもとで「ネスタリゾート神戸」として再出発した。
でも、一度破綻した施設の復活は簡単ではなく、リニューアル後もが苦戦が続いていた。
そこで、ネスタリゾート神戸が助けを求めたのが、「刀」だった。

その後、「大自然の冒険テーマパーク」として再々出発し、わずか1年で客数2倍、売上は3倍近くに増加した。
コロナ禍で大変な2020年も、過去最高集客を更新し続けている。

当時、山林に囲まれた人口8万人弱の市に残る巨大な施設は「負の遺産」と言われていた。
「顔」とすべき際立った特徴が見当たらなかったのだ。

ただ、森岡氏のV字回復の秘訣である「逆転の発想力」が、景色を大きく変えた。

「物事には、2面性がある。事実を反対から見れば、それは強みになり得る」

森岡氏の考えだ。

そうか。

「逆転の発想力」で大切なことは、事実に真正面から向き合い、課題や欠点と思っていたことを強みに変えることなのだ。

森岡氏は、新しいコンセプトを「大自然の冒険テーマパーク」として、自然に囲まれた広大な敷地だからこそできる貴重な体験を魅力として打ち出した。

「自然しかない地方の施設」を「自然を強みにする魅力あるテーマパーク」へと発想を逆転させたのだ。

確かに楽しさが溢れる、ワクワク感に満ちたテーマパークへと様変わりした。

広大な大自然の中でチームに分かれて敵を撃つサバイバルゲーム「ガンバトル・ザ・リアル」

大地の起伏をそのまま生かしたオフロードコースを本格バギーで走り回る「ワイルド・バギー」

緑に囲まれた池の上にカヌーを浮かべ、浮島を回る「ワイルド・カヌー」

期間限定で大自然を見下ろす熱気球「バルーン・フライト」
・・・。

どれも、コンクリートで新しい施設を造ったわけではなく、もともとあった大自然を生かしたアトラクションばかりだ。

さらに話を続けよう。

大自然の冒険テーマ」のコンセプトでテーマパークをつくる時、森岡氏は「人間が大自然で興奮するということは何か」を真剣に考えた。
そのために、一人で何日も山にテントで篭り、自然の中で生き物を捕らえて食べて生きるという体験もし、狩猟免許まで取得した。

すごい、と思う。

もともとある強みを体感し、知り尽くし、生かすこと。

「逆転の発想力」の源だ。

自分や自分の人生に置き変えて考えてみる。

自分は、本当の自分を知っているのだろうか。
真剣に自分の魅力を知ろうとしてきただろうか。
「自分」の課題や欠点だと思ってきたことが、実は、大きな「強み」なのかもしれない。
本気で「自分」を知ることに、もっと時間を費やすことが大切ではないだろうか。

まずは、真っ白なシートに、自分が感じてきた自分自身の課題や欠点を書いてみることから始めてみよう。
そして、その一つひとつを反対の視点から「強み」として見つめ直してみる。

自分のもともとあった「強み」を生かして「人生のV字回復」に一歩近づけることができるかもしれない。

新しい景色が、目の前に広がるかもしれない。

超人気ユーチューブ「もちまる日記」の癒しのひととき。ビジネス視点からの「3つの魅力のキーワード」

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先日、「もちまる」という可愛いネコのユーチューブの話を聞いた。

見ると、確かに虜になってしまいそうだ。

ユーチューブの登録者数が、130万人を超え、総再生回数6億回なのだそうだ。
「もちまる日記(下僕著、KADOKAWA)」という本も販売されている。
すでに、7万部を突破している。

ここまで反響のあるユーチューブ。
ネコを話題にしたユーチューブは、数多い。
何が魅力なのだろうと、ふと思った。
そして、あらためて、動画に見入った。

すると、3つのキーワードが浮かんだ。

それは、
1, 独自性
2.主役
3.安心感と親近感
だ。

1. 独自性

まずは、率直に、ネコがかわいい。
目と顔のバランスも絶妙だ。

そして、もう一度、ネコを見てみる。
そうか。
ネコらしくないネコなんだ。

お手をするネコ。
飼い主が帰ってきても駆け寄っていかないネコ。
相手にしないと、人間のようにすねるネコ
・・・。
犬の仕草もあり、時には人間のようにも感じる。

愛くるしさの中に、落ち着きも漂う、虜になってしまいそうな、かわいい「ネコらしくないネコ」だ。

まさに独自性を感じる。

2. 主役

動画を見ていて、すごく人気のある北海道旭川市旭山動物園を思い出した。
一度行ったことがあるが、心から感動した。

旭山動物園には、「行動展示」という、動物たち本来の生態を引き出せるようにした展示の方法がある。
透明のカプセル状の観察ポイントから大迫力のホッキョクグマが見れるエリアをはじめ、とにかく生き生きとした動物たちを間近で体感できる。

旭山動物園の大きな魅力の一つは、動物たちが主役である、という点だ。

もちまるの話に戻そう。

飼い主は、自身のことを下僕と名乗っている。
下僕とは、「召使いの男、しもべ」を意味するらしい。

「僕自身、もち様が自然でいられるように、ストレスにならないようにと気をつけています」と、山形新聞の取材で、飼い主は語っている。

そうか。
動画のネコ、もちまるが、まさに主役なのだ。

3. 安心感と親近感

動画時間は5分ほどで、動画シーンを絞ってコンスタントに更新されている。
とても見やすい。
下僕さんのコメントのテロップも、自然体だ。
まるで、人間同士でじゃれ合っているようで、互いの信頼関係が画面から溢れている。

以前、「寄り添うツイッターキングジム公式ツイッター担当者/KADOKAWA)」を読んだ。フォロアーが劇的に増えたキングジムツイッター担当者の話で、特に印象に残ったのは、「みんなに愛されるための答えは、安心感と親近感」というキーワードだった。

そうか。
「もちまる日記」全体から、「安心感と親近感」を感じる。

まさに、「もちまるブランド」だ。

もう一度、「独自性」「主役」「安心感と親近感」の3つのキーワードで、「もちまる日記」を見てみることにしよう、と思う。

時々、自分の頭で「なぜ?」を考えるのは、心地いい。

成果が上がらず悩んでいる人へ〜目標実現に向けた「PDCAサイクル」上達のための2つの方法〜

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日頃、頑張っているけれど、なかなか成果につながらなくて悩んでいる人も多いのではないだろうか。

私は、PDCAサイクルの上達に取り組めば、成果に結びついていく、と感じている。
ご存知のとおり、PDCAとは、Plan(仮説・計画) Do( 実行)Check(検証) Action(改善)の頭文字からなるビジネスフレームワークだ。

目標実現のための「PDCAサイクル」上達のための2つの方法をを紹介しよう。

1. 目標とPDCAのポイントをシンプルに意識する。

目標とPDCAそれぞれのポイント・押さえどころを、なるべくシンプルに意識することをお薦めしたい。

以下、押さえるポイントを記載しよう。
①目標を立てるときは、具体的な「数字」を入れて、「期限」をセットに考える。
②仮説・計画を立てるときは、「3つまでの行動計画」と、目標実現に対して「一貫性」があるかを考える。
③実行は、「優先順位」と「逆算思考(目標期限までに、今、何をするか)」を意識する。
④検証は、できなかったことよりも「成果」から振り返り、「仮説・実行」に対して検証する。
⑤改善は、次の動きを「明確化(軌道修正の有無・新たな取り組み・中止など)」する。

もう一度、キーワードを見てみよう。

目標は、「数字」と「期限」
仮説・計画は、「3つまで」「一貫性」
実行は、「優先順位」と「逆算思考」
検証は、「成果から」「仮説・実行に対して」
改善は、「明確化」
だ。

押さえどころは、なるべくシンプルがいい。

目標は、何のために立てるのだろうか。
私は、「手ごたえ」を持ち、「楽しさ」を実感するためだと思っている。
だからこそ、目標は具体的な方が「手ごたえ」を持ちやすい。
検証は、「成果」から行うことで「手ごたえ」を感じたい。

できることが少しずつ増えていく。
成長の実感が少しずつ高まっていく。
そうすると、仕事や人生が楽しくなっていく。
私は、そう感じている。

2. 90日に一度、白いシートに、フリーハンドで、PDCAを書く練習をする

白いシートに、フリーハンドで、PDCAを意識して、振り返りを書いてみる。
90日間は、ある程度、成果を実感しやすい期間だと思う。
そして、このフリーハンドがいい。
自由に書いてみる。

目標に、数字と期限を入れることができていただろうか。
仮説・計画は、3つまでに絞って、一貫性のある計画を描けただろうか。
この90日の実行は、優先順位と逆算思考を意識してできただろうか。
仮説・実行に対して、どんな成果を感じれただろうか。それはなぜ、できたのだろうか。
検証を踏まえ、次にどう軌道修正しようか。

先ほどのシンプルなキーワードを意識して、振り返ってみる。

はじめは、仮説・実行に対して、検証できないかもしれない。
検証から、次のアクションを描けないかもしれない。

それでも、いいと思う。
練習だと思えば、いいのだと思う。

いずれ、PDCAの達人に近づいていく。
そうすると、狙って成果を出せる人に近づいていけると思う。

大切なのは、PDCAと真正面から向き合うこと。
PDCAサイクルを回し続けること。

PDCAは、単なるビジネスフレームワークではなく、人生を心豊かにする、自己成長のための思考法だと感じている。

人生と仕事に生きる「効果的なコミュニケーションの秘訣」

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コロナ禍で、オンラインミーティングが日常的に行われるようになった。
良い点もたくさんあるが、課題を感じている人も多いようだ。

中でも多いのが、「コミュニケーション」についてだ。

先日、致知10月号を読んだ。
その中で、ドラッカー学会理事の佐藤等氏の記事が印象に残った。
まず目に飛び込んできたのが、次のタイトルだった。

「人と話すときは、相手が経験的に知っている言葉、つまり大工と話すときは大工の言葉を使え」

それから、引き込まれるように文字を追っていった。
特に2つの内容が、印象的だった。

1.コミュニケーションとは、受け手の知覚であること。

職場で起こるコミュニケーション・ギャップの多くは、受け手の問題に目を向けていないことから起きている、という視点に強く共感した。

受け手の多くは、期待する情報に関心を持ち、その情報を取捨選択して生きている。
だから、受け手が情報を意味あるものとして知覚することではじめてコミュニケーションはスタートし、さらに相手の期待という障害を乗り越えてコミュニケーションは深まる。

綴られているとおり、「コミュニケーションの主人公は、あくまで受け手なのだ」と思う。

2.コミュニケーションの本質は、意味・真意を伝えること。

初対面の人とコミュニケーションがなかなか深まらないのは、情報はあるが、その情報の意味、つまり真意が伝わりにくいから。
その人の考え方や背景を知らないことが原因で、コミュニケーションは、人と人をつなぐパイプラインのようなもの、と筆者は語る。

確かに、日頃の会話を思い出すと、互いに深く理解しあっている相手の場合、少ない情報でも通じるものがある。意味や真意が通じあえるベースがあるからだ。

コミュニケーションの本質は、情報ではなく、意味・真意を伝えることなのだ。

では、あらためて、自分はこれから、何を意識してコミュニケーションを始めようか。
いろいろと考えた。

そうだ。「相手を知ること」と「なぜ、そう思うかを語る」ことから意識しよう。

仕事・育児・介護・・・疲れにくい生き方の秘訣

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新型コロナ感染が続く中、毎日の生活に疲れを感じる人が増えているのではないだろうか。

先日、「精神科医がすすめる 疲れにくい生き方(川野泰周 著/クロスメディア・パブリッシング)を読んだ。

疲れる原因や具体的な対処方法などが書かれていて大変参考になる。

著者は、精神科医で禅僧でもあられる。

特に印象に残ったキーワードは、「受け入れる」と「気づく」だ。

私たちは、生きていく上で、ネガティブな感情を抱く時がある。
その時に大切なことは「その感情を、そのまま受け入れる」ことなのだそうだ。
悲しさや苦しさといった感情を自分の中で拒否し、自分の感情を抑制することは、自分を痛めつける要因となるらしい。
悲しい時は悲しみに浸ること自体が、回復のプロセスなのだ。

また、
「自分は今こんな感情を持っている」といったことを認識すること。
「今、自分の心が苦しいんだな」ということに気づくこと。
そして、そんな気持ちを持つ自分を認めること。
これらのことが大切なのだそうだ。

さらに、「自分を責めいているな、悩んでいるな」と気づいた時は、それを意識化(見える化)すると良い。

見える化」するための具体的な方法も、この本には書かれている。

それは、「インターベンションブレスレット」。
自分を責めていることに気づいたら、手につけたブレスレットを、反対の手に付け替えるということを繰り返す方法だ。

人は、自分の中で起こっていることを観察するのはとても苦手だ。
それを、ルーティンの動作に置き換えることで「見える化」し、そのことが心のパターンを見直すきっかけとなり、ひいては穏やかな気持ちへとつながっていく。

自分の感情を、そのまま受け入れること。
そして、自分の感情に気づき、認めること。
気づいた時には、意識化(見える化)すること。

これらのことを日常生活の中で、少し心に留めておきたい。

幸せを呼ぶ「ARIGATOパワー」

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東京オリンピックの閉会式が終わり、電光掲示板に「ARIGATO」が映し出された。

1964年の東京五輪の閉会式では「SAYONARA」が映し出されたが、その時の文字と同様のフォントが使われたらしい。

少し「ありがとう」について考えてみたい。

「ありがとう」の語源は、「有り難し」から来ているらしい。
「有り難し」とは、「ありえないこと」「存在しえないこと」で、「ありえないこと」を神・仏が起こしてくれた場合に使った言葉という説がある。
神・仏を賞賛する言葉として「ありがとう」「有り難し」が存在したようだ。

そのように見ると、今回のオリンピックの閉会後の「ARIGATO」は、何か深い意味にも感じ取れる。

別の視点から考えてみよう。

「ありがとうの心」が行き交うチームや家族、友人関係には、笑顔や喜び、幸せが満ち溢れている気がする。
お互いに安らぎや安心感が生まれ、チャレンジする勇気も湧いてくる。

「人間を磨く(田坂広志著/光文社新書)」には、次のように綴られている。

ただ、「言葉」だけの感謝であれば、誰でもできる。日々、誰でも行っている。
自分のために何かをしてくれた人を目の前にして、「有り難うございます」と言う光景は、世に溢れている。
しかし、こうした言葉の背後に、本当に「感謝の気持ち」があるかと言えば、ただ「儀礼」として、反射的にそう語っている場合が大半であろう。
しかし、もし、目の前にその人がいないとき、一人、心の中で、その人に感謝できるとすれば、それが「本当の感謝」に他ならない。

田坂さんは、「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか(田坂広志著/PHP研究所)」でも。次のように語っている。

「人間、本当の強さを身につけていないと、感謝ができない」
しかし、その逆も真実なのです。
「人間、感謝の行を続けていると、心が強くなってくる」
そして、こうした修行を通じて、大切なことに気づきました。
修行に、高度な修行というものはない。
修行とは、日常の生活の中にある、素朴な行のこと。
問われているのは、その修行を続けられるか、否か。
それだけなのです。

日々、感謝の心を大切にしたい、そう思う。

最後に、「生きよう今日も喜んで(平澤興著/致知出版社)」から、一部を紹介しよう。

顔は自分の顔であって、自分だけの顔ではない。人々から見る顔でもある。
全体としていつでも明るい顔は、心に明るさをもっているからである。
明るい顔は、明るい心。明るい心は、やすらぎの心、感謝の心である。
それは人を明るくし、自分の健康を保つためにも一番大事なことである。
習慣的に、明るさを身につけることである。常に明るくあるためには長い修練が必要である。

感謝の心から、一隅を照らせる人に。
できる範囲で、「日常の生活の中にある、素朴な行」につとめたい。