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「新幹線のぞみデビュー30周年」から思う「【誇り】【生きがい】そのための【認め合う風土】【現場の知恵】の大切さ」

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東海道新幹線「のぞみ」が3月14日、デビュー30周年を迎える。
1992年に、「ひかり」よりも速い特急として誕生し、東京ー新大阪間を約30分短縮した。

2020年にデビューした最新の「N 700S」は、最高速度が285キロに達するという。
東京ー新大阪間は最短2時間21分となり、1時間で12本という通勤電車並みの本数を可能にしている。

ここで思い出すのは、世間にもよく知られる、「テッセイ」の愛称をもつ鉄道整備株式会社だ。

列車が折り返す間に与えられたわずか7分の停車時間に、車両清掃からトイレ掃除、ゴミ出し、座席カバーの交換、忘れ物のチェックなど、テキパキと完璧に終える。
その一つひとつの所作が、礼儀正しく凛として美しい。
到着する新幹線に対して一列に整列し、礼をする姿に感動を覚える。

では、なぜこれほどまでのサービスが可能となったのか。

「奇跡の職場〜新幹線清掃チームの“働く誇り”(矢部輝夫著/あさ出版)」を読んで特に印象に残ったキーワードがある。

それは、「認め合う風土」と「現場の知恵」だ。

仕事には、経済的側面も大切だが、何より「誇り」と「生きがい」が欠かせない。
そのために大切なこと、それは「認め合う」こと。
経営者がスタッフを、スタッフがスタッフ同士を互いに認め合うことのできる環境や風土、仕組みを長年にわたって地道に築いてきたという。

そのためのツールの一つが「エンジェルリポート」だ。
主任である「エンジェルリポーター」がコツコツがんばるスタッフをリポートし、それを皆で共有する、というものだ。

さらに「テッセイ」は、「現場の知恵」を大切にし実行する。

例えば、
仕事でかけられると気持ちがよくなり「ノリ」がよくなる言葉を集めた「ノリ語集」
アロハシャツや浴衣など、顧客に季節を感じていただくための様々な「アイデア
など。

本社主導で現場を管理するのではなく、現場主導の全員経営が「誇り」と「生きがい」を生む。

「テッセイ」の職場の奇跡のことを考えていると、ふと以前に読んだ「タオ・マネジメント(田口佳史著/産調出版)を思い出した。

「表面的な理屈や言葉ではなくて、体験体得して、人が深く感じ理解することこそが肝要」という内容に見入った。
そして、「そのような姿勢を貫き通せれば、一般の人には気づかない微妙な部分やかすかな部分が見えてくる。これこそ、プロフェッショナルであり玄人だ」との言葉が心に残る。

まさに「テッセイ」は玄人集団なのだ、と感じた。
「認め合う」という言葉に深みを感じる。

職場も、学校も、家庭も、大切なチーム。

これまで見過ごしてきたかもしれない「お互いのがんばりを認め合う心」を養いたい、
そう感じた。

「住みたい街ランキング」から学んだ「引き算する勇気」の重要性

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3月3日、「首都圏住みたい街ランキング2022」が発表された。
住宅サイトSUUMOが1万人に調査したものだ。

1位は横浜、2位は吉祥寺、3位は大宮だった。
ランキングで、特に目を引いたのは、2021年の39位から16位へ急上昇した千葉県の「流山おおたかの森」だ。

いくつかのネット記事を読み、急上昇したポイントを考えてみた。

その大きな要因は、次のコンセプトだ。

「母になるなら、流山市

流山市には、明確なコンセプトを軸に街づくりをしている強みを感じた。
(個人的には男女限らず、“親になるなら、流山市”の方が良いかな、とも感じたが)

流山市は、コンセプトを軸に、同じベクトルに向けて一貫した施策を実行している。
仕事をしながら子育てできる環境づくりに全力で取り組んでいるのだ。

例えば、「駅ビルと指定保育所を結ぶバスが発着するステーション」。
出勤時に子どもを預けると、駅から保育所まではバスが送迎するという。
帰宅後も駅で子どもを迎えることができる利便性は、子育て世代にとって大きな魅力だ。

また、認可保育園の数も、2010年度の17園から100園以上と大幅に増加し、2021年の待機児童はゼロだという。

さらに、自然環境やショッピングセンターの充実など、「子育てのしやすさ」を叶えるための「取り組み」が満載だ。

ふと、「引き算する勇気(岩崎邦彦著/日経ビジネス人文庫)」を思い出した。

著者は、「引き算によって、本質的な価値が引き出され、人をひきつけることができる。引き算がチカラになる」と語る。

この本に記載されているとおり、例えば「自然と歴史の街」といった、どの地域にもあてはまるようなコンセプトでは、確かに人の心に刻まれないように思う。
取り組む側も、同じベクトルに向かってパワーを集中できない。

しっかりとした軸をもって「引き算」し、同じベクトルに向かって一貫した取り組みに集中する。
そこに大きなパワーが生まれるのだろう。

いくつかの他の企業のコンセプトも頭の中を駆けめぐる。

家庭でもなく会社でもない、第3のくつろぎの場を提供する「サードプレイス」をコンセプトとするスターバックス

広域情報を提供するインターネットに対して、「狭域情報を提供する」ことをコンセプトとするリクルートのホットペーパー。

バスのように身近で、あえて座席指定や機内食のない、短距離を迅速に行き来する「空飛ぶバス」をコンセプトとするサウスウエスト航空

「引き算する勇気」を持ち、コンセプトを起点にする。
そこから、何をやって何をやらないかという意思決定が湧いてくる。

このことは、ビジネスだけではなくて、普段の生活にも活かせるかもしれない。

引き算がチカラになる。

心に刻んでおきたい、そう感じた。

「都道府県別健康寿命ランキング」をきっかけに考えた「健康寿命のためのポイント」〜「自問」と「朝の日課」〜

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昨年12月、厚生労働省は、男性72.68歳、女性75.38歳という健康寿命推計結果(2019年時点)を公表した。

健康寿命とは、健康上の問題で日常生活を制限されずに暮らせる平均的な期間のことだ。

日本は世界有数の長寿国と言われているが、
平均寿命から健康寿命を差し引いた「不健康な期間」は、男性8.73年、女性12.06年と長い。
なるべく「健康寿命」を保ちたいものだ。

都道府県別で見ると、大分県健康寿命が、男性は全国1位、女性は全国4位と長い。
何気なく、大分県のホームページを見てみた。

「めざせ!健康寿命日本一おおいた」のキャッチフレーズが目に飛び込んできた。

大分県では、
健康アプリを活用した運動の促進。
塩分控えめで野菜たっぷりな食事の普及。
事業所ぐるみで行う健康づくりへの取り組み。
・・・など。
官民一体となった様々な活動を推進している。

県民一人ひとりの意識と行動、そのための地域全体の取り組みの大切さを感じる。

先日、「脳メンテナンス大全(クリステン・ウィルミア/サラ・トーランド著 日経BP)」を読んだ。

脳には、ニューロンと呼ばれる神経細胞が1000億個以上あり、1個のニューロンは、シナプスと呼ばれる接合部を通じて他の数千個のニューロンとつながっていて、脳内に100兆以上の接続をもたらしているという。
人の脳が、「既知の宇宙で最も複雑な物体」と呼ばれるのもうなづける。

著者は、「何歳になっても、脳は変えられる」と語る。
そのための方法として「植物性食品をはじめとする脳にいい食事」「ウォーキングなど、有酸素運動といった脳にいい運動」について記されていたが、最も印象に残ったのは「脳にいい考え方」についてだった。

人は1日に6万の独立した思考をし、そのうちの90%は反復思考だという。
反復思考とは、過去の回想や未来の予想など、同じことを繰り返し考えること。

反復思考がネガティブな場合、ネガティブな神経回路がつくられ、脳に負担がかかり、自己嫌悪、不安症を引き起こすおそれもある。

では、ネガティブ思考を抑え、より健康になるためのポジティブ思考に変える方法とは何だろう。
読み進めるうちに疑問が湧いてきた。

そのための方法とは。

2つのキーワードが印象に残った。

それは、「自問」と「朝の日課」だ。

ネガテイブ思考を抱くたびに、「そんなことを考えてはいけない」と自分を否定するのではなく、ネガティブ思考を受け入れ、自問することが大切だと著者は語る。

なぜ自分や状況に対してネガティブになっているのか、と自問することが、ネガティブ思考をポジティブ思考に変えるきっかけを生む。

そして「朝の日課」だ。

朝をポジティブに始められれば、一日中ポジティブでいられる可能性が高いという。
確かに、活躍する企業経営者などは、朝の習慣を決め、例えば、読書や運動、瞑想など、どんなに忙しくても日課にしていると聞く。

「自問」と「朝の日課

少し、自分自身の健康寿命と向き合う時間があってもいいかもしれない、
そう感じた。

コメダ珈琲の発展の秘密 2つのキーワード 〜「理念」と「現場」〜

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デロンギ・ジャパン株式会社が、10月1日の「コーヒーの日」に合わせて、「コロナ禍におけるコーヒーの飲用調査2021年度版」を行っていたことを知った。

全国の20〜69歳の男女(計400人)を対象に調査しているが、多くの人がコロナ禍の日常でコーヒーの味わいを楽しんでいることがわかった。

1日1杯以上コーヒーを飲んでいる人は84.6%。
1日2〜3杯飲む人が、1日1杯の人よりも多く、最多の36.5%。

私も、コロナ禍でコーヒーを飲む回数が増えた一人だ。

コーヒーの香りを思い浮かべていると、ふと、コメダ珈琲のネット記事を思い出した。

茶店チェーンを運営しているのは、1968年に加藤氏が創業した。コメダホールディングス
コメダ珈琲は、店員が席まで来て注文を受け、飲食を運ぶ「フルサービス形式」の喫茶店だ。

記事を読んで、コメダ珈琲の発展の秘密を自分なりに解釈した。

キーワードは、「理念」と「現場」だ。

【理念】
コメダ珈琲は「くつろぎの場の提供を最大価値とする“街のリビングルーム”」を理念に掲げる。
確かに店には何とも言えない温かい空気が流れていて、落ち着ける空間だ。

現社長の臼井社長は、こう語っている。

「経営の柱として、くつろぎで人と地域、社会をつなぎたい。店がお客様とつながり、地域のコミュニティーに良い影響を及ぼす地域のインフラになりたい」
「自社のみならず、ライバルと言われる企業と競争するのではなく、共創しながら、共に地域や社会に貢献したい」
と。

社会貢献への強い思いが印象的だった。

【現場】
コメダ珈琲は、店舗のほとんどがフランチャイズで、各店のオーナーの裁量が大きいのが特徴だ。
本部がマニュアルに基づき細かく指示するのではなく、地域のことを知るオーナーが、自分の判断で店舗を運営している、という。

本部は美味しいパンやコーヒーなどを各店に届けることに徹するが、提供するかどうかは各店に任せている。
価格設定も、実際にいくらで売るかはオーナー次第だ。

地域のオーナーだからこそできる、きめ細かなサービスや接客が最大の強みなのだ。

臼井社長は入社以来、毎週木曜日の朝は、店員の一人としてエプロンをつけて厨房に立っているらしい。

その臼井社長が、次の言葉を語っている。

「僕はもともと、誰かがあれこれ指導するという発想が大嫌い」

現場を大切にする人が、現場を最もよく知る人に、現場を任せる。

まさに現場第一主義だ。

シンプルで、大切な考え方だと共感する。

「理念」と「現場」

あらためて意識したいキーワードだと感じた。

ところで、10月1日は、なぜ「コーヒーの日」なのだろう、と素朴な疑問を持った。

その日は、世界一のコーヒー生産国であるブラジルが関わっていることを知った。

ブラジルではコーヒーの収穫・出荷のサイクルとして、10月1日から翌年の9月末日までを1年度としている。
そのため、コーヒー国際機関が、10月1日を「国際コーヒーの日」として2014年に制定したのだった。

ただ、次が面白い。

「国際コーヒーの日」が制定されるおよそ30年前の1983年に、既に全日本コーヒー協会は同じ理由で、10月1日を「コーヒーの日」として制定していたという。

「国際コーヒーの日」が制定された当時、日本は、国際コーヒー機関に加盟していなかった。
日本が主張したわけでなかったが、同じ日に制定されたのだった。

日本と世界。
国や地域を問わず、人の心理の共通性を感じる。

くつろぎで、人と地域、さらには世界がつながっていく。
競争ではなく、共創しながら世界の温かいコミュニティーが広がっていく。

その当事者として、自分のできることを考えたい。
1杯のコーヒーを飲みながら。

明日はバレンタインデー。チョコレート製造販売会社の「SDGsへの取り組み」からの学び

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時の経つのは早いもので、明日は2月14日だ。

バレンタインデーは世界的に知られているが、恋人や友人へ贈る物でチョコレートが主役になるのは、日本ならではの文化らしい。

ふと、以前、チョコレート製造販売会社/Dari K株式会社の吉野慶一社長の話を講演会で聞いたことを思い出した。

SDGsへの思いが溢れる話だった。

SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、人類のより持続可能な未来を築くために、2015年に国連で採択された国際社会共通の目標だ。

例えば、貧困や飢餓、健康、教育、働きがい、気候変動など、経済や環境、社会などの観点から設定された17の目標と169のターゲットから構成されていて、2030年までの達成を目指している。

チョコレートの原料となるカカオ豆の栽培を巡っては、生産者の低収入、児童労働、森林伐採といった環境問題などへの対応が急務になっている。

吉野社長は、そのような課題の解決を目指して、チョコレート製造販売会社を立ち上げた。

インドネシアスラウェシ島で、発酵方法を指導するなど、良質なカカオ豆づくりを支援し、質に見合った価格で買い上げ、生産者の収入も向上させてきた。

「カカオで世界を変える」という理念のもと、消費者も生産者も環境もWinーWINーWinとなるよう、真正面から取り組んでいる。

1月、Dari Kは、株式会社ロッテの傘下に入った。
「同じブランド名で全国に商品をお届けすると同時に、チョコレートの可能性を広げたい」と吉野社長は熱く語る。

今あらためて、Dari Kの取り組みを思い出し、特に感じることがある。

これから先、世の中はどうなったら良いんだろう。
そのための課題は何だろう。
課題解決のために自分は何ができるんだろう。

そういう自分自身への問いだった。

ふと、以前、ネット記事で、SDGs作成のお一人でもある、広島大学 吉田和浩教授の言葉を思い出した。

それは、
SDGsは、2030年にどういう世の中でありたいか、を考えて行動していくためのもの」
だった。

なるほど。

私たちが生きていくうえで、何が大切かをわかりやすくまとめたSDGs

日常の生活やビジネスで、「世の中のありたい姿と課題解決」の視点をより強く意識して行動しみよう。
そう感じた。

自分でできる一歩から。

北京オリンピック銅メダル 堀島行真選手の思考からの学び〜「好き・楽しい」と「未知への挑戦」〜

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堀島行真選手が、北京オリンピックのスキーモーグル男子で今大会日本勢第1号となる銅メダルを獲得した。

TVでインタビューを聞き、堀島選手の考え方をもっと知りたい、と直感的に感じた。
いくつかのネット記事を読み、気づきや学びを得た。

4年前の平昌オリンピックでは、期待されながら決勝2回目で転倒し11位に終わった。
「金メダルは獲りたい。でも、期待に応えられなかったらどうしよう」と、弱冠20歳の心は揺れていたらしい。

目指していた結果に手が届かず、想像を絶するほどの喪失感だっただろう。
その先、競技を続けていくためのモチベーションをどう高めたのだろう。

この疑問に対する堀島選手の思考が、すごく印象に残った。

そのキーワードは「好き・楽しい」と「未知への挑戦」だ。

「競技を続けるのであれば、ポジティブな気持ちで続けたかった。だから、スキーが好き、スキーは楽しいっていう気持ちに目を向けることでしか続けることができなかった」と堀島選手は振り返った。

そして、そのためにとった行動は「未知のスポーツへの挑戦」だった。

体操やフィギアスケート、スノーボード、水泳の飛び込み・・・。

まったく新しい考え方による挑戦が、モーグルに必要な体の使い方や繊細な感覚を磨いた。
さらにはモーグルへの新たな発見や楽しさを見出した。

北京オリンピックでの予選1回目は16位だった。
メダルを逃した前回大会の悪夢がよぎったことだろう。
ただ。今回は違った。
中1日で臨んだ予選2回目を5位で通過。
決勝1回目も5位、決勝2回目を3位でパス。
そして、決勝3回目で、途中バランスを崩しそうになりながらも、諦めない強い気持ちで見事銅メダルを獲得した。

必要以上にプレッシャーをかけていた自分自身を分析し、深く見つめ直し、意識を変えた「未知への挑戦」が、「好き・楽しさ」を思い起こし、素晴らしい成果へとつながった。

そもそも、オリンピックに出場できるほどの人の努力や精神力、身体能力の高さは、並外れた次元だと思う。

ただ今回、「好き・楽しい」と「未知への挑戦」のキーワードは、自分の普段の生活でも活かしていける、そう感じた。

そして、ふと以前読んだ書籍「安岡正篤一日一言(安岡正泰監修/致知出版社)を思い出した。
安岡氏は、人物学を中心とした偉大な教育者として知られていた方だが、特に難しい問題を考える時に留意すべき「思考の三原則」について、こう語っていた。

第一は、目先に捉われないで、出来るだけ長い目で見ること。
第二は、物事の一面に捉われないで、出来るだけ多面的に、出来得れば全面的に見ること。
第三に、何事によらず枝葉末節に捉われないこと。

堀島選手の思考は、この「長期的、多面的、根本的な思考」と、共通点があるような気がした。

青学大 箱根駅伝の圧勝から学ぶ 〜「自律」と「目標」と「観察」の重要性〜

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今年正月の箱根駅伝
青山学院大学が大会新記録で圧勝した。
2015年に初優勝し、それから8年で優勝は6度。

「強さ」の秘訣はなんだろう。
初優勝の時から、TVや新聞、書籍、ネット記事などで、青学大を率いる原監督の数々の言葉を目にしてきた。

あらためて印象に残ったキーワードを考えた。

それは「自律」だ。

今の自分に足りないものはなんなのか。
目標とするものはなんなのか。
学生自らが考えて実行する。

様々な勝因がある中で、その根底は、この「自律」だと感じる。

では、「自律」を育むための手段はなんだろう。

青学大の「目標管理シート」は有名だが、やはり、「目標」の二文字は欠かせない、
そう思う。

選手は、なりたい自分を描き、紙に目標や取り組む具体策を書く。
ポイントは、その際行う「目標管理ミーティング」だ。
数名のグループを作り、「頑張れば届く目標」を練る。
その過程で、リーダーシップや風通しのよい風土も生まれるのだろう。
自ら目標を作り、自らミーティングを開く。
自発的だからこそ、楽しさや手応えが生まれるのだと思う。

以前読んだ「フツーの会社員だった僕が、青山学院大学箱根駅伝優勝に導いた47の言葉(原晋著/アスコム)」で、原監督は「管理職の仕事は管理することではない、感じることだ。そのためには、本気で観察すること」と語っている。

「観察」すること。

「自律」を育むための大切な視点だと感じた。

基本を教える時期も大切。
任せるタイミイングも大切。
指導者は、人それぞれの段階に応じて「自律」へと育むこと。
そのために、一人ひとりに寄り添い、本気で観察し、目標に向かって自らの力でできたことを見逃さない。
これらのことが重要なのだと思った。

学生に戻った気持ちで、自分に置き換えて考えてみる。
ふと、以前読んだ「子どもが自ら学び出す!自由進度学習のはじめかた(蓑手章吾緒/学陽書房)」を思い出した。

蓑手先生は、
「学びは本来楽しいもの。学びを楽しくするのではなく、楽しさを取り戻す」と語る。
さらに、「ぎりぎり達成できないめあて・目標を立てよう」と続ける。

確かに「ぎりぎり」だからこそ、全力を出そうと思える。
目標は手応えを感じるためにある、と思う。

そういえば、イチローも、「努力すれば手の届く小さな目標を一つひとつクリアして達成感を積み重ねることが大事。それを積み重ねれば、いつかは夢のような境地にたどり着く」と語っていた。

今一度、「なりたい自分」と「今の自分の目標」を見つめ直しみようと思う。
まさに自分自身への観察だ。
そして、本来楽しい「学び」にワクワクしながら、「自ら挑戦したくなる、自ら動き出す」感覚を楽しみたい、と思う。

そしていつかは、夢のような境地にたどり着いてみたい。