焙煎所とコーヒー店の「猿田彦珈琲」
図書館と旅館の「松本本箱」
アパレルと飲食店の「ギャップ」
そして、
名店と横丁の虎ノ門ヒルズ飲食フロア「虎ノ門横丁」
・・・。
これらの仕掛け人、建築設計事務所 サポーズデザインオフィス代表 谷尻誠氏を「カンブリア宮殿」で知った。
建築業界で注目を集める谷尻氏の最大の特長は「混ぜる建築」。
今、「斬新で、新しい」と評価が高まり、多くの経営者から依頼が殺到しているという。
実は、サポーズの事務所そのものも、「混ぜ合わせた場所」になっている。
一般客が家庭料理を楽しめる「食堂」と、サポーズの「社食」を混ぜ合わせた「社食堂」が、事務所にあるのだ。
谷尻氏とは、どんな考え方を持つ人なのだろう。
さらに興味を抱き、ネット記事を探した。
そこで発見したキーワードは、「考える癖をつける」だった。
例えば、谷尻氏は「名前を取り除いてから考えてみる」という。
スターバックスで、パソコンを開いて仕事をしているなら、カフェでなくてオフィスと呼んでもいい。
コップも、「飲む道具」として定義しているだけで、花や草を入れた瞬間に花器になるし、金魚を入れたら金魚鉢になる。
成り立たせる要素、本質を抽出して置き換えれば「型破り」な在り方も見えてくる。
例えば、住宅を「入浴・食事・就寝の行為ができる場所」と定義すれば、倉庫の中にその3つの要素を閉じこむことで「倉庫なのに住宅」という新しい概念が生まれる。
逆に、構成する要素について考えないと、ダイニングは食事をする場所と脳が決めつけ、先人が発明したままのレールに乗っかるだけになってしまう、と。
なるほど、おもしろい。
常識に囚われすぎて、多くのものを見ているのかもしれない。
もう少し常識を疑い、遊び心を持って、世の中を見つめ直してもいいのかもしれない。
自分が住んでみたくなる場所
自分が使ってみたくなるモノ
自分が過ごしたくなる時間
新しい自分目線で、世の中を見つめ直した時、
楽しい人生やワクワクするビジネスへの一歩を踏み出せる、そう感じた。
千利休、生誕500年に想う〜自分の人生を豊かにクリエイトするための「本質を見抜く方法」〜
安土桃山時代の茶人・千利休が、今年で生誕500年を迎えた。
利休は、茶席で高価な中国製陶器(唐物)などを尊んだ時代の風潮に対して、簡素・簡略な「わび茶」を大成したことで有名だ。
身分に関係なく、狭い茶室で膝を突き合わせ、茶でもてなす「心の通い合い」。
当時の常識を覆し、素朴な美しさを説き、追求した「侘び寂びの世界」。
利休のことを思い浮かべると、いつも、佐藤可士和氏を思い出す。
佐藤氏は、ブランド戦略のトータルプロデューサーとして、コンセプトの構築からビジュアル開発まで手掛ける、日本を代表するクリエイターだ。
これまで、国立新美術館などのシンボルマークデザインや、ユニクロ・楽天グループ・今治タオルなどのブランディング、カップヌードルミュージーアムなどのトータルプロデュースと、数々の素晴らしい実績を持つ。
ネット記事で、六本木未来大学の講義での佐藤氏と国立新美術館主任研究員・宮島氏との対談記事を目にした。
その中で、宮島氏は、佐藤氏に、ある質問をしていた。
「尊敬、あるいは参考にしているデザイナーやクリエイティブディレクターはいますか?」
佐藤氏の答えがこれだ。
「千利休は侘び茶という概念をつくったクリエイティブディレクターだと思うのです」
そして、佐藤氏はこう続けた。
「究極の美しさとは概念。概念は考え方だから物質化されていないし、劣化もしない。本当は、見えない概念みたいなことを皆さんに伝えるために、自分はものをつくっている感じなんですよね。千利休は、侘び寂びという非常に高度な概念をつくった」
「一日一話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(藤尾秀昭監修/致知出版社)」で紹介されていた佐藤氏の考え方が心に残った。
ヒット商品を生み出すためには、商品の本質を見抜くことが肝要。
そのためには「そもそも、これでいいのか」と、その前提を疑うことが重要。
過去の習慣や常識にばかり囚われていては。絶対にそれ以上のアイデアは出てこない。
また、人の話を聞くことも、本質を見抜く要諦。
クライアントの言わんとする本質をきちんと聞き出す。
プロジェクトを推進していく時に、そのことに多くの時間を割いている。
その「人の話を聞く」にあたって、好きや嫌い、気性が合う合わないとった邪念を入れず、
常にニュートラルでいること、それが重要。
私たちの人生の主役は、私たち一人ひとりだと思う。
「私の人生プロジェクト」の推進者だ。
過去の習慣や常識ばかりに囚われていないだろうか。
邪念を入れず、人の話を聞いているだろうか。
人生を豊かにクリエイトするヒントが、ここにある。
そう感じた。
新年度に思う、「幸せ時間」をつくるためのキーワード〜「記録」と「捉え方」〜
いよいよ新年度が始まった。
新入社員や新入生の中には、新たな目標を掲げた人も多いのではないだろうか。
新型コロナ感染の影響は続いているが、より良い年度になることを願う。
先日、よみうり生活応援隊会員へのアンケート調査記事を読んだ。
今後、生活習慣や活動などで、卒業したいこと(やめたいこと)があるか、という問いに対して、144人中約8割の人が「ある」と答えたらしい。
1位は「運動不足」。
そして、「食べ過ぎ」「ストレス」「時間の浪費」と続く。
「健康で前向きに生きたい」との声が多いのが特徴だ。
特に「ストレス」は、少しでも軽減したいものだ。
「TIME SMART(アシュリー・ウィランズ著/東洋経済新報社)」に、「幸せになるための時間」をつくる考え方や方法が記されていた。
印象に残るキーワードの一つに「タイムプア(時間的に貧乏)」があった。
やらなくてはならないことが多すぎて、時間が足りない。
この状態でストレスを抱える人が多い、という。
例えば、いつどれだけ働くかを自分で決めるためにテクノロジーを活用しているのに、皮肉にも、休みなく働く羽目になっている、と著者は語る。
そして、ストレスのない幸せの時間をつくるための秘訣についても綴っている。
中でも特に「時間を記録する」「時間の捉え方を変える」という「タイム・リッチ」になるための考え方・方法が心に残った。
自分が時間の使い方をどう決めているかを理解するために、自分が時間をどう使っているかを「記録」する。
この時、大切なこと。
それは「それぞれの時間に使っている活動について自分がどう感じているかを記すこと」だという。
楽しいものだったか、有意義なものだったか。
少し立ち止まって、自分の感情と向き合ってみる。
ストレスがかかり、不幸せに感じる活動については、それに費やす時間を減らせないか自問してみる。
また、時間の「捉え方」を変えることによっても「タイム・リッチ」になれると著者は語る。
例えば、小売店などで一日中立ち詰めの仕事をしている人が、身体への負担を「運動」と考えることで、仕事がもっと好きになるという調査結果があるという。
時間の捉え方を変える。
このことで、ストレスのない、幸せの時間を生み出すことができるかもしれない。
時間に追われるのではなくて、幸せの時間を自らデザインする。
この意識をもう少し高めたい、そう感じた。
奇跡の冷凍機「凍眠」の誕生秘話からの学び〜「人生無駄なし」と「人生二度なし」〜
コロナ禍で冷凍食品の需要が高まっている。
確かに、まとめ買いもできて、保存も長くでき、便利だ。
何よりも、美味しさは大きな魅力だ。
冷凍食品といえば、冷凍食品業界に革命を起こした人がいるという。
冷凍機メーカー「株式会社テクニカン」の創業者、山田義夫社長だ。
山田社長は、奇跡の冷凍機と言われる「凍眠」を開発した。
「凍眠」は、それまでの常識を覆し、「液体凍結」という方法で食品を凍らせる。
魚や肉などの食材やフルーツはもちろん、高級レストランの料理や銘酒「獺祭」までも、驚くほど瞬時に凍らせることができる。
そのことで、凍結品から解凍時に、旨みや水分を含む液体(ドリップ)が発生することなく、冷凍前とほとんど変わらない美味しさと食感で食べられるのだという。
素晴らしい。
ではなぜ、山田社長は、この画期的な冷凍機を開発できたのだろう。
その大きなきっかけは、山田社長の「大好きな趣味」からだった。
山田社長は、学生時代、毎日のように遊び回っていたという。
あきれた母親に、高校を中退させられたというから驚きだ。
その後、父親が経営する食肉卸の会社に強引に入社させられたが、仕事の合間を縫っては、ダイビングなど、趣味に没頭していたという。
だが、この趣味が、とんでもない奇跡を生むことになった。
気温が同じでも水中の中だと冷たく感じる、というダイビングの経験が、「凍眠」の開発に活かされたのだ。
この時、ある言葉を思い浮かべた。
「人生無駄なし」と「人生二度なし」だ。
どちらも、様々な人が語っている言葉だが、個人的には
「人生無駄なし」はホンダの創業者、本田宗一郎氏、
「人生二度なし」は哲学者、森信三先生、
からの言葉が印象深い。
人生には、無駄な経験は一つもない、と思う。
失敗に思えても、その経験が後の素晴らしい人生に生かすことができる、そう感じる。
目の前の人生を思いきり楽しむこと、
好きなことに没頭すること、
その瞬間は、二度と戻らない尊い時間だと感じる。
そして、詩人、相田みつをの次の詩が、自分の背中を押してくれる。
じぶん
いま ここ
じぶん
いま ここ じぶん
それを
どう充実させて
生きるか
あるいは むなしく
生きるか
それをきめるのは
いま ここの
じぶん
グリコ100周年を機会に考える「長寿企業」の共通点 〜「コア」の大切さ〜
江崎グリコは、今年の2月11日に100周年を迎えた。
グリコといえば、大阪道頓堀の高さ20メートルの広告塔「グリコサイン」がお馴染みだ。
社名の由来に興味がわく。
創業者の江崎利一氏が、カキの煮汁に含まれる栄養素のグリコーゲンを商品化したいと考え、キャラメルに混ぜて作ったのがはじまりらしい。
低糖質菓子の「SUNAO」や健康や美容を応援する「アーモンド効果」、ストレス軽減に役立つとされるアミノ酸配合チョコレート「GABA」など、「おいしさと健康」を追求し続けている。
長寿企業の共通点は何だろう。
ふと、室町時代後期に創業し、500年もの歴史ある和菓子屋の「虎屋」を思い出した。
長寿企業の事例として、よく紹介される「虎屋」。
以前、ネットで、29年間にわたって社長を務めた17代黒川光博氏のインタビュー記事を見た。
その時、特に「コア」のキーワードが心に響いた。
「約30年間変わらず考え続けてきたことは、理念でもある『おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく』ために、今何をしなければならないかということ」と、黒川氏は語る。
そして、「変えてはいけないものは一つだけ。それは、虎屋のコア」と続ける。
会社を大きくしようという思いよりも、いかにおいしいお菓子を作り、お客様に喜んでいただくか。
極めてシンプルだ。
この理念、すなわちコアにこだわり歩み続けたからこそ、「革新」にチャレンジできる、そう感じた。
グリコの話に戻そう。
グリコの理念は、
「おいしさの感動を 健康の歓びを 生命の輝きを
Glicoは、ハート・ヘルス・ライフのフィールドで
いきいきとした生活づくりに貢献します」
理念が、単なる言葉だけに終わっていない。
おいしさと健康
変えてはいけない、グリコの「コア」だ。
自分に置き換えて考えてみる。
自分自身の生き方の「コア」とは何だろう。
「コア」を決めると、「新たな自分と自由な生き方」への道筋が見えてくるかもしれない。
「新幹線のぞみデビュー30周年」から思う「【誇り】【生きがい】そのための【認め合う風土】【現場の知恵】の大切さ」
東海道新幹線「のぞみ」が3月14日、デビュー30周年を迎える。
1992年に、「ひかり」よりも速い特急として誕生し、東京ー新大阪間を約30分短縮した。
2020年にデビューした最新の「N 700S」は、最高速度が285キロに達するという。
東京ー新大阪間は最短2時間21分となり、1時間で12本という通勤電車並みの本数を可能にしている。
ここで思い出すのは、世間にもよく知られる、「テッセイ」の愛称をもつ鉄道整備株式会社だ。
列車が折り返す間に与えられたわずか7分の停車時間に、車両清掃からトイレ掃除、ゴミ出し、座席カバーの交換、忘れ物のチェックなど、テキパキと完璧に終える。
その一つひとつの所作が、礼儀正しく凛として美しい。
到着する新幹線に対して一列に整列し、礼をする姿に感動を覚える。
では、なぜこれほどまでのサービスが可能となったのか。
「奇跡の職場〜新幹線清掃チームの“働く誇り”(矢部輝夫著/あさ出版)」を読んで特に印象に残ったキーワードがある。
それは、「認め合う風土」と「現場の知恵」だ。
仕事には、経済的側面も大切だが、何より「誇り」と「生きがい」が欠かせない。
そのために大切なこと、それは「認め合う」こと。
経営者がスタッフを、スタッフがスタッフ同士を互いに認め合うことのできる環境や風土、仕組みを長年にわたって地道に築いてきたという。
そのためのツールの一つが「エンジェルリポート」だ。
主任である「エンジェルリポーター」がコツコツがんばるスタッフをリポートし、それを皆で共有する、というものだ。
さらに「テッセイ」は、「現場の知恵」を大切にし実行する。
例えば、
仕事でかけられると気持ちがよくなり「ノリ」がよくなる言葉を集めた「ノリ語集」
アロハシャツや浴衣など、顧客に季節を感じていただくための様々な「アイデア」
など。
本社主導で現場を管理するのではなく、現場主導の全員経営が「誇り」と「生きがい」を生む。
「テッセイ」の職場の奇跡のことを考えていると、ふと以前に読んだ「タオ・マネジメント(田口佳史著/産調出版)を思い出した。
「表面的な理屈や言葉ではなくて、体験体得して、人が深く感じ理解することこそが肝要」という内容に見入った。
そして、「そのような姿勢を貫き通せれば、一般の人には気づかない微妙な部分やかすかな部分が見えてくる。これこそ、プロフェッショナルであり玄人だ」との言葉が心に残る。
まさに「テッセイ」は玄人集団なのだ、と感じた。
「認め合う」という言葉に深みを感じる。
職場も、学校も、家庭も、大切なチーム。
これまで見過ごしてきたかもしれない「お互いのがんばりを認め合う心」を養いたい、
そう感じた。
「住みたい街ランキング」から学んだ「引き算する勇気」の重要性
3月3日、「首都圏住みたい街ランキング2022」が発表された。
住宅サイトSUUMOが1万人に調査したものだ。
1位は横浜、2位は吉祥寺、3位は大宮だった。
ランキングで、特に目を引いたのは、2021年の39位から16位へ急上昇した千葉県の「流山おおたかの森」だ。
いくつかのネット記事を読み、急上昇したポイントを考えてみた。
その大きな要因は、次のコンセプトだ。
「母になるなら、流山市」
流山市には、明確なコンセプトを軸に街づくりをしている強みを感じた。
(個人的には男女限らず、“親になるなら、流山市”の方が良いかな、とも感じたが)
流山市は、コンセプトを軸に、同じベクトルに向けて一貫した施策を実行している。
仕事をしながら子育てできる環境づくりに全力で取り組んでいるのだ。
例えば、「駅ビルと指定保育所を結ぶバスが発着するステーション」。
出勤時に子どもを預けると、駅から保育所まではバスが送迎するという。
帰宅後も駅で子どもを迎えることができる利便性は、子育て世代にとって大きな魅力だ。
また、認可保育園の数も、2010年度の17園から100園以上と大幅に増加し、2021年の待機児童はゼロだという。
さらに、自然環境やショッピングセンターの充実など、「子育てのしやすさ」を叶えるための「取り組み」が満載だ。
ふと、「引き算する勇気(岩崎邦彦著/日経ビジネス人文庫)」を思い出した。
著者は、「引き算によって、本質的な価値が引き出され、人をひきつけることができる。引き算がチカラになる」と語る。
この本に記載されているとおり、例えば「自然と歴史の街」といった、どの地域にもあてはまるようなコンセプトでは、確かに人の心に刻まれないように思う。
取り組む側も、同じベクトルに向かってパワーを集中できない。
しっかりとした軸をもって「引き算」し、同じベクトルに向かって一貫した取り組みに集中する。
そこに大きなパワーが生まれるのだろう。
いくつかの他の企業のコンセプトも頭の中を駆けめぐる。
家庭でもなく会社でもない、第3のくつろぎの場を提供する「サードプレイス」をコンセプトとするスターバックス。
広域情報を提供するインターネットに対して、「狭域情報を提供する」ことをコンセプトとするリクルートのホットペーパー。
バスのように身近で、あえて座席指定や機内食のない、短距離を迅速に行き来する「空飛ぶバス」をコンセプトとするサウスウエスト航空。
「引き算する勇気」を持ち、コンセプトを起点にする。
そこから、何をやって何をやらないかという意思決定が湧いてくる。
このことは、ビジネスだけではなくて、普段の生活にも活かせるかもしれない。
引き算がチカラになる。
心に刻んでおきたい、そう感じた。