堀島行真選手が、北京オリンピックのスキーモーグル男子で今大会日本勢第1号となる銅メダルを獲得した。
TVでインタビューを聞き、堀島選手の考え方をもっと知りたい、と直感的に感じた。
いくつかのネット記事を読み、気づきや学びを得た。
4年前の平昌オリンピックでは、期待されながら決勝2回目で転倒し11位に終わった。
「金メダルは獲りたい。でも、期待に応えられなかったらどうしよう」と、弱冠20歳の心は揺れていたらしい。
目指していた結果に手が届かず、想像を絶するほどの喪失感だっただろう。
その先、競技を続けていくためのモチベーションをどう高めたのだろう。
この疑問に対する堀島選手の思考が、すごく印象に残った。
そのキーワードは「好き・楽しい」と「未知への挑戦」だ。
「競技を続けるのであれば、ポジティブな気持ちで続けたかった。だから、スキーが好き、スキーは楽しいっていう気持ちに目を向けることでしか続けることができなかった」と堀島選手は振り返った。
そして、そのためにとった行動は「未知のスポーツへの挑戦」だった。
体操やフィギアスケート、スノーボード、水泳の飛び込み・・・。
まったく新しい考え方による挑戦が、モーグルに必要な体の使い方や繊細な感覚を磨いた。
さらにはモーグルへの新たな発見や楽しさを見出した。
北京オリンピックでの予選1回目は16位だった。
メダルを逃した前回大会の悪夢がよぎったことだろう。
ただ。今回は違った。
中1日で臨んだ予選2回目を5位で通過。
決勝1回目も5位、決勝2回目を3位でパス。
そして、決勝3回目で、途中バランスを崩しそうになりながらも、諦めない強い気持ちで見事銅メダルを獲得した。
必要以上にプレッシャーをかけていた自分自身を分析し、深く見つめ直し、意識を変えた「未知への挑戦」が、「好き・楽しさ」を思い起こし、素晴らしい成果へとつながった。
そもそも、オリンピックに出場できるほどの人の努力や精神力、身体能力の高さは、並外れた次元だと思う。
ただ今回、「好き・楽しい」と「未知への挑戦」のキーワードは、自分の普段の生活でも活かしていける、そう感じた。
そして、ふと以前読んだ書籍「安岡正篤一日一言(安岡正泰監修/致知出版社)を思い出した。
安岡氏は、人物学を中心とした偉大な教育者として知られていた方だが、特に難しい問題を考える時に留意すべき「思考の三原則」について、こう語っていた。
第一は、目先に捉われないで、出来るだけ長い目で見ること。
第二は、物事の一面に捉われないで、出来るだけ多面的に、出来得れば全面的に見ること。
第三に、何事によらず枝葉末節に捉われないこと。
堀島選手の思考は、この「長期的、多面的、根本的な思考」と、共通点があるような気がした。