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千利休、生誕500年に想う〜自分の人生を豊かにクリエイトするための「本質を見抜く方法」〜



安土桃山時代の茶人・千利休が、今年で生誕500年を迎えた。
利休は、茶席で高価な中国製陶器(唐物)などを尊んだ時代の風潮に対して、簡素・簡略な「わび茶」を大成したことで有名だ。

身分に関係なく、狭い茶室で膝を突き合わせ、茶でもてなす「心の通い合い」。
当時の常識を覆し、素朴な美しさを説き、追求した「侘び寂びの世界」。

利休のことを思い浮かべると、いつも、佐藤可士和氏を思い出す。
佐藤氏は、ブランド戦略のトータルプロデューサーとして、コンセプトの構築からビジュアル開発まで手掛ける、日本を代表するクリエイターだ。

これまで、国立新美術館などのシンボルマークデザインや、ユニクロ楽天グループ・今治タオルなどのブランディングカップヌードルミュージーアムなどのトータルプロデュースと、数々の素晴らしい実績を持つ。

ネット記事で、六本木未来大学の講義での佐藤氏と国立新美術館主任研究員・宮島氏との対談記事を目にした。
その中で、宮島氏は、佐藤氏に、ある質問をしていた。

「尊敬、あるいは参考にしているデザイナーやクリエイティブディレクターはいますか?」

佐藤氏の答えがこれだ。

千利休は侘び茶という概念をつくったクリエイティブディレクターだと思うのです」

そして、佐藤氏はこう続けた。

「究極の美しさとは概念。概念は考え方だから物質化されていないし、劣化もしない。本当は、見えない概念みたいなことを皆さんに伝えるために、自分はものをつくっている感じなんですよね。千利休は、侘び寂びという非常に高度な概念をつくった」

「一日一話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(藤尾秀昭監修/致知出版社)」で紹介されていた佐藤氏の考え方が心に残った。

ヒット商品を生み出すためには、商品の本質を見抜くことが肝要。
そのためには「そもそも、これでいいのか」と、その前提を疑うことが重要。
過去の習慣や常識にばかり囚われていては。絶対にそれ以上のアイデアは出てこない。

また、人の話を聞くことも、本質を見抜く要諦。
クライアントの言わんとする本質をきちんと聞き出す。
プロジェクトを推進していく時に、そのことに多くの時間を割いている。
その「人の話を聞く」にあたって、好きや嫌い、気性が合う合わないとった邪念を入れず、
常にニュートラルでいること、それが重要。

私たちの人生の主役は、私たち一人ひとりだと思う。
「私の人生プロジェクト」の推進者だ。


過去の習慣や常識ばかりに囚われていないだろうか。
邪念を入れず、人の話を聞いているだろうか。

人生を豊かにクリエイトするヒントが、ここにある。
そう感じた。