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「消滅可能性自治体一覧」に想う 〜「今ある良さや魅力に気づく」ことの大切さ〜

4月に、民間の有識者グループ「人口戦略会議」が、「消滅可能性自治体」に関する分析内容について公表した。
2050年までに若年女性人口が半数以下となる744の自治体が、「最終的には消滅する可能性がある」というものだ。

一方、65の自治体を「自立持続可能性自治体」とし、「2050年までの若年女性人口の減少率が20%未満にとどまり、100年後も持続可能性が高い」と予測している。

このような社会課題が深刻化する中、魅力的な地域づくりに奮闘する人も多い。

以前、「カンブリア宮殿」で、「熱海」での地域再生物語が紹介されていた。

熱海は、バブル経済の崩壊や団体旅行客の減少で、客足は減り、大型ホテルの倒産も相次いでいた。
その熱海が、今や、若者や家族連れが殺到する人気の観光地へと復活を遂げている。

仕掛け人は、故郷の熱海を再生するために起業した市来広一郎氏だ。

市来氏が、まず取り組んだことは、観光客が来なくなった理由の解明だ。
聞き込みをして回り、観光協会で衝撃的な話を耳にする。
それは、女性観光客の体験談だった。
観光客が、駅前のお店でお勧めの場所を尋ねても、その答えは、「熱海には何もないですよ」・・・だった。
タクシーの運転手も旅館の答えも同じだった。
「こんな街には二度と来たくない」と思われても当然だろう。

まず再生に必要なことは、地元の人たち自身が、熱海の魅力を知ることだった。

市来氏は、地元の体験ツアーを行い、知っているようで知らない温泉の歴史がわかるスポット巡りや、名物の干物を作るツアーなどを組み、地元の人たちに熱海の良さを身をもって体験してもらった。

熱海は、今では、誰でも気軽に泊まれる「ゲストハウス マルヤ」をベースに、近所の商店街にある多くのお店や温泉なども潤っている、という。

観光客は・・・
朝のおかずを「干物の店」で買い、「マルヤ」に備え付けのグリルで楽しんでいる。
敢えてシャワールームしかない「マルヤ」からお勧めの温泉で、心を癒やしている。

さらに今、熱海に観光客が戻るにつれて、外から働き手も入り、多くの若い世代が移住している、という。

大切なことは、「新しいものを作る」というよりも「今ある良さや魅力に気づく」ことなのだろう。

このことは、地域再生だけではなく、「人」にも言えることだろう。
自分や大切な人の「今ある良さや魅力に気づく」ことで、未来が拡がるかもしれない。