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新年を迎え、想う〜自問と興味とジャンプ〜

2025年が幕を開けた。
新年にあたって、「こういう1年にしたい」と心に留めた人も多いのではないだろうか。

今年、私は還暦を迎える。
月日が経つのは早いものだと、つくづく感じる。
節目の年に、あらためて「林住期(五木寛之著/幻冬舎)」を読んだ。

古代インドには、人生を25年ずつ4つの時期に分ける「四住期(しじゅうき)」という考え方があったと言われる。
25歳までの「学生期(がくしょうき)」。50歳までの「家住期(かじゅうき)」。
75歳までの「林住期(りんじゅうき)」。100歳までの「遊行期(ゆじょうき)」。

今まさに「林住期」の真只中にいる私は、3つの内容が印象に残った。

「林住期は、自分が本当にやりたいことを自問する時期」
「林住期は、必要だからというよりも、興味があるからやってみる時期」
「林住期は、人生の再出発ではない。これまで貯えた体力、気力、経験、能力など、すべてを土台にした、人生におけるジャンプの時期」

なるほど。「自問と興味とジャンプ」か。
日々の生活の中で、自分を後回してしている人も多いのではないだろうか。
もう少し、自分を労っても良いのかもしれない。

新たな年を迎え、私は、この想いを心に留めた。
「自分と向き合い、2025年をジャンプの年に!」

読者の皆さまお一人おひとりの想いが叶う1年でありますように。

大逆転の「堀米選手」に学ぶー諦めない、やり抜く力を高める方法ー

 

8月11日、パリ五輪が幕を閉じた。
選手たちから多くの感動をもらったが、特に印象に残っているのは、スケートボード金メダリストの堀米選手だ。

一発の技を競う「ベストトリック」で、最終5回目の試技を迎え7位だった。
残り後一回のチャンスで挑んだ技が、これまで実践で成功したのは1度きりで、今回の競技でも続けて失敗している「ノーリーバックサイド270テールブラントスライド」だった。
背中側に270度横回転しながらレールへ飛び上がり、そのまま板の端をレールにかけて滑り降りるという離れ技だ。
堀米選手は、最後の最後までできる限りの調整を続けた後、5回目の試技を完璧に成功させ、一気にトップに立ち、東京大会に続く2連覇を遂げた。

「少しの可能性、1%の可能性を最後まで信じた」と、競技後、堀米選手は語った。

堀米選手から「可能性を信じる心」「諦めずに、やり抜く力」の大切さを学んだ。

以前読んだ「GRIT やり抜く力(アンジェラ・ダックワース著/ダイヤモンド社)」には、
やり抜く力を高めるいくつかの方法が綴られていた。
その中で印象に残ったひとつが、「興味をもち、没頭すること」だった。

「興味を持ったことをひたすら楽しんで、どんどん興味が湧くようにしたほうがいい。
いったいなにが自分の一生を方向づける重要な目標になるかなど、見当もつかない。ただひたすら楽しむことだ」と筆者は語る。

さらに、興味を発見するためには、まずは自分に質問してみることだと提案している。

いつのまにかよく考えているのはどんなこと?
なにをしているときが一番楽しい?
これだけは耐えられないと思うことは?

続けて筆者は、
少しでも興味があることを発見できたら、とりあえず試してみること。うまくいかなかった場合は、取り消したってかまわない」
と続ける。

最後に、もう一度、堀米選手のインタビューを紹介しよう。

「泣いても笑っても最後の1回でもう終わりってことに、一瞬だったけど嬉しい気持ちも少しあったりとか、なんかわかんないけどすごい楽しめた感覚も少しあって、でもその中でも自分の世界観にちゃんと入れた」
スケートボードを始めたときとかを考えると、遊びで、遊びだけどすごい本気で。その本気になった分きついけど、でもそこにまた新しい楽しさがあると感じてて」

何歳からでも、「興味をもち、没頭できる人生」「楽しむ人生」を大切にし続けたい。

潜在能力を引き出す方法〜言葉の力〜

まもなくパリオリンピックが開催される。
パリでオリンピックが開催されるのは1900年、1924年に続き3回目となる。
本大会では、32競技329種目が実施され、開会式ではパリ中心部を流れるセーヌ川が舞台となる。

月刊誌「致知8月号(致知出版社)」で、オリンピック選手たちの快挙をサポートしてきた脳科学者、林成之氏の興味深い記事が掲載されていた。

林氏は、「自分で自分の潜在能力を放棄している人の何と多いことか」と嘆く。
潜在能力とは、「表に出ていない、内に秘めた才能」を意味するが、林氏によれば、「この潜在能力は誰もが持つ才能で、誰もが高めることができる」という。

特に印象に残ったのは、潜在能力の大きな弱点は「否定語」というキーワードだ。
脳が情報を処理するプロセスにおいて、マイナス感情は潜在能力の働きを鈍らせる。

記事には、これまで林氏が助言してきた、いくつかの事例が紹介されていた。

一つは、2011年開催のサッカー女子W杯で日本勢初の優勝を成し遂げたなでしこジャパン
その助言は、「後から何を言うかは関係なく『そうだね』と同調して会話を始めなさい」だった。
「そうだね」の言葉で生まれた信頼関係で、否定されることの恐怖心がなくなり、チームメイトのお互いが受け止め合い、自ずと潜在能力を引き出し合った。
結果、ボールを持ったら仲間がいないところへ迷わず、失敗を恐れず蹴る、という常識破りのパス回しを生み出し、快挙の大きな要因となったのだ。

他にも、
卓球の石川佳純先生への「私は絶好調。きょうは自分の日だ」の言葉。
競泳の北川康介選手への「『勝てるかどうかわからない』でなく『自分だったら勝てる』」の言葉。

「ポジティブな言葉や考え方は、脳機能の働きを阻むことなく、潜在能力を生み出す」
という事例に勇気をもらえる。

さらに、記事の最後に綴られた林氏のメッセージに目が止まった。

「『いい年だからできない』『年を取った』は潜在能力を消す禁句」・・・

あらためて、ポジティブな言葉を大切にしよう、そう自分自身に言い聞かせた。

「夢やビジョン」のための、自分に合った「段取り」の大切さ

 

今年も、大谷翔平選手が活躍している。
最近の情報記事で、大谷選手の新ルーティンのことを知った。

そのルーティンは、打席に入る前に、ホームベースと三塁線の延長線上にバットを寝かせて、軸足となる左足の立ち位置を確認する、というものだ。

特に大リーグは、球場によってバッターボックスのラインの太さが違い、同じ位置に立っているつもりでも、そうでない場合があるという。
大谷選手は「同じ位置で同じように構えるというのが、同じようにボールを見ることに対して一番大事なこと。動く(スイング)前の段階がやっぱり一番大事」と、一貫した考え方を語った。

この時、よくビジネスで使われる「段取り8分仕事2分」という言葉を思い出した。
事前に段取りしておけば、仕事の8割方は完了し、仕事の質とスピードは上がるという意味で、仕事の事前準備の大切さを表している。

「段取り力(斎藤孝著/筑摩書房)」という本で段取りの意味や考え方が綴られている。

中でも、自分の気づきとなったこと。
それは、
・人の能力の差はそれほどなくて、段取りを意識することで結果に結びつく。
・その段取りというものは、一人ひとりに備わっていて、好きな趣味や得意な分野では、既に段取りができていることが多い。
・だから、自分は何がしたいのか、というビジョンを明確にすることが大切。その上で、ビジョン達成のために、何をしたらいいか、という仮説と優先順位をシンプルに考え、段取りをデザインする。
・・・ことだった。

夢やビジョンに向かって、自分に合った「段取り」というデザインをワクワクしながら描いてみたい、と思う。

「消滅可能性自治体一覧」に想う 〜「今ある良さや魅力に気づく」ことの大切さ〜

4月に、民間の有識者グループ「人口戦略会議」が、「消滅可能性自治体」に関する分析内容について公表した。
2050年までに若年女性人口が半数以下となる744の自治体が、「最終的には消滅する可能性がある」というものだ。

一方、65の自治体を「自立持続可能性自治体」とし、「2050年までの若年女性人口の減少率が20%未満にとどまり、100年後も持続可能性が高い」と予測している。

このような社会課題が深刻化する中、魅力的な地域づくりに奮闘する人も多い。

以前、「カンブリア宮殿」で、「熱海」での地域再生物語が紹介されていた。

熱海は、バブル経済の崩壊や団体旅行客の減少で、客足は減り、大型ホテルの倒産も相次いでいた。
その熱海が、今や、若者や家族連れが殺到する人気の観光地へと復活を遂げている。

仕掛け人は、故郷の熱海を再生するために起業した市来広一郎氏だ。

市来氏が、まず取り組んだことは、観光客が来なくなった理由の解明だ。
聞き込みをして回り、観光協会で衝撃的な話を耳にする。
それは、女性観光客の体験談だった。
観光客が、駅前のお店でお勧めの場所を尋ねても、その答えは、「熱海には何もないですよ」・・・だった。
タクシーの運転手も旅館の答えも同じだった。
「こんな街には二度と来たくない」と思われても当然だろう。

まず再生に必要なことは、地元の人たち自身が、熱海の魅力を知ることだった。

市来氏は、地元の体験ツアーを行い、知っているようで知らない温泉の歴史がわかるスポット巡りや、名物の干物を作るツアーなどを組み、地元の人たちに熱海の良さを身をもって体験してもらった。

熱海は、今では、誰でも気軽に泊まれる「ゲストハウス マルヤ」をベースに、近所の商店街にある多くのお店や温泉なども潤っている、という。

観光客は・・・
朝のおかずを「干物の店」で買い、「マルヤ」に備え付けのグリルで楽しんでいる。
敢えてシャワールームしかない「マルヤ」からお勧めの温泉で、心を癒やしている。

さらに今、熱海に観光客が戻るにつれて、外から働き手も入り、多くの若い世代が移住している、という。

大切なことは、「新しいものを作る」というよりも「今ある良さや魅力に気づく」ことなのだろう。

このことは、地域再生だけではなく、「人」にも言えることだろう。
自分や大切な人の「今ある良さや魅力に気づく」ことで、未来が拡がるかもしれない。

よりよく生きるためのキャリア戦略

総務省が発表した「労働力調査の2023年平均結果」によると、正規社員・従業員数は3603万人で9年連続の増加、非正規社員も2124万人で2年連続の増加となった。
転職者数は328万人と2年連続の増加で、近年では19年の353万人、18年の330万人に次ぐ水準だ。
私も約30年前、転職した経験があるが、今では転職も当たり前の時代になってきている。

「今すぐ転職を考えていない人のためのキャリア戦略(田中研之輔著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)」という、「生き方・働き方」について書かれた書籍がある。

「経営戦略や事業戦略という単語は日々飛び交うのに、戦略的思考を、自分自身のこれからのキャリアにあてはめて考える機会は少ない」
「自らの人生を決めるのは自分。どうしていくのかを、一つひとつデザインしていくことが大切」との著者の言葉が印象的だ。

さらに、「戦略的に思考するための内的対話のアプローチ方法」が大変参考になる。
それは、「何を大切にして、どう生きていきたいのか」を深めるためのシートだ。

例えば、
「蓄積してきた自分の強み・今後伸ばしたい自分の強みシート」
「『自社・顧客・競合』を自分に置き換えた『自己・状況・社会』シート」
「やりたくないことシート」・・・等が紹介されている。

自分と向き合い、どう生きていきたいか、を考える時間は尊いように感じる。
そしてこのことは、転職を考える人だけに限らないであろう。

自分も、高齢者と言われる年代に近づきつつある。
未来を切り拓くために、今まで以上に、自分と向き合い、自分と対話することを大切にしていきたい。
そしてこのとき、著者の言葉をかみしめたい。

「大切なことは、自らの過去を経験を誰よりもあなた自身が認めてあげること」
ということを。

「認識」で、健康な暮らしの可能性を見出す

 

高齢者約5,000人を追跡調査した東京都健康寿命医療センターによれば、一日5,000歩(うち7.5分速歩き)で認知症や心疾患に、7,000歩(うち15分速歩き)でがんに、一定の予防効果が確認できたという。

国の健康づくり計画でも、65歳以上の男性の一日の目標歩数を7,000歩に、女性では6,000歩に設定している。

健康長寿の秘訣は、まず歩くことから、とウォーキングを日課にしている人も多いのではないだろうか。

先日、運動シューズ等をつくる会社で、歩き方を測定してもらえる機会があった。
センサーのあるマットの上を数メートル歩くと、歩く速さや歩幅が測定される。
そのとき受けた歩くときのポイントが興味深かった。

それは、
「肘を引くこと」
「なるべくスピードを意識して歩幅を広げること」
「かかとから着地すること」
だった。

歩くポイントの認識が、健康寿命の延伸に効果があるようだ。

「マインドフル・ボディ(エレン・J・ランガー著/徳間書店)」で、著者は「健康状態を決める重要な要素は、認識である」という考え方と方法について語っている。

いくつかの研究事例が紹介されている。
例えば、
・仕事を運動と認識することで、体重が減り、血圧が下がる事例
・ストレスは、そのものより「ストレスは有害」という認識の方が有害である事例
・睡眠不足だという認識を持つと、脳は実際に睡眠不足であるかのように働く事例
・・・等だ。

様々な認識で、健康な暮らしの可能性を見出すことができそうだ。
今日から試してみることにしよう。