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「らんまん」な笑顔がもつ魅力

 

NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者、牧野富太郎
明治から昭和まで活躍した牧野博士は、自ら「植物をこよなく愛している」と語り、植物の前では常に正装で臨んだという。

有名な名言も知られている。
「雑草という草はない。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている」と。
牧野博士の深い想い、人生観、温かい人柄が伝わってくる。

牧野博士の肖像写真には、「らんまん」な笑顔も多い。
当時の偉人の表情とはかなり趣が異なる。
植物を愛するという概念があまりなかった時代に、植物の素晴らしさを人々に伝えたことは、牧野博士の最大の功績だとも言われる。
「博士は、何でこんなに楽しそうな笑顔で、植物を見つめるのだろう」と笑顔に魅了され植物愛好家となった人も多いのではないだろうか。

「仕事の技法(田坂広志著/講談社現代新書)」で、著者は、こう語っている。
「言葉のメッセージ以上に言葉以外のメッセージこそが相手に伝わり、重要な意味をもつ」と。
コミュニケーションにおいて、「言語」の役割は2割で、「非言語」の役割は8割とする専門家もいるそうだ。

確かに「笑顔は人を照らし、笑顔は伝播していく」・・・そう感じる。
笑顔あるところに人は集い、笑顔が笑顔を呼ぶのかもしれない。

太陽に向かって伸びる植物。
太陽のような「らんまん」な笑顔に向かって、人から人へと広がる温かいネットワーク。

今一度、「笑顔」を大切にしたい。

鉄道を魅力的にデザインする水戸岡氏に学ぶー脱固定観念の大切さー

 

豪華寝台列車ななつ星in九州」をはじめ鉄道を魅力的にデザインする水戸岡鋭治氏。
外装から内装まで全てのデザインを手がける。
今では、駅や公園、ホテル、カフェなど、全国各地から依頼が殺到している。
様々な媒体で紹介されているが、以前見た「カンブリア宮殿」でも印象的だった。

水戸岡氏は、勉強も運動も嫌いだったらしいが、絵を描くのは得意だった。
周りの人に褒められるのが嬉しくて、どんどん描くようになった。

子どもの頃、のんびりしていて不器用のため、「鈍治(どんじ)」がニックネームだった。
後に設立した「ドーンデザイン研究所」の由来にもなった。
その理由が興味深い。

「鈍」はデザイン上で大切なキーワードなのだという。

水戸岡氏は、本当に美しいデザインは鈍角だと考えている。
自然を見ても、良いものは良い鈍角をしていて、鋭角のものは遠くかは見えないが、鈍角は遠くから見ても美しい。
だから、車両のデザインをする時、自然の形に近い鈍角を大事にしている。

なるほど。
「鈍」に対する固定観念が変わる。

人間学を学ぶ月刊紙「致知」の9月号に、水戸岡氏の記事が掲載されていた。

JR九州との仕事で最初に提案したのは「アクアエクスプレス」という真っ白い車両だった。
鉄道車両にとって汚れが目立つ白はタブーとされ、現場から猛反対を受けた。
それでも、鮮やかな白を守るメンテナンス技術さえあれば可能だと力説し、何とか実現した。
結果、白が海沿いの景色に映え大評判となり、現場も白が際立つように懸命に磨き、人気列車となったのだ。

固定観念に縛られないことの大切さを感じる。

以前、教育でも、関連した話を聞いたことがある。
自分の可能性を最大限に伸ばすために大切なこと、それは固定観念の打破だ、と。
「自分の能力はこんなもんだ」と決めつけることが、自分の可能性に蓋をしてしまう。

日常的に様々な場面で、人は固定観念で考えてしまうことが多いのかもしれない。

固定観念
これから、少し意識していきたい。

認知症予防にとって大切なこと ーアウトプット型の行動スタイルー

超高齢社会の中で、認知症高齢者の人口、割合共に年々増加傾向にある。
団塊の世代が75歳を迎える2025年に、認知症高齢者数は、高齢者の約5人に1人にあたる700万人を超えると厚生労働省は試算している。
「将来不安に思うことは、がんを抜いて認知症」という生命保険会社の調査もある。

この状況の中、6月14日には「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が参議院本会議で全会一致で可決した。

この法律には、認知症の人やその家族の意向を尊重することを中心に、地域での共生に向けて認知症に対する国民の理解を深めること、医療や福祉、保険、雇用など、総合的に取り組むことの重要性などが掲げられている。

この法律を機会に、認知症や予防に対する社会の関心が、今後さらに高まることを期待する。
自分自身も、これまで以上に「自分ごと」として捉えたい。

「70歳が老化の分かれ道(和田秀樹著/詩想社)」には、脳の若さを維持するための考え方や方法などが綴られている。

この書籍で、特に印象に残ったキーワードは「アウトプット型の行動スタイル」だ。

会話などのアウトプットの行動で、脳は活性化し、老化の防止になるという。
そして、得た知識を、これまでの経験や他の知識を使って加工し、「自分の考え」として述べるときに、特に脳は活性化するそうだ。

自分の頭で考え、その考えを語ることを大切にしたい。

筆者は、こうも述べている。

ブログなどのSNSで自分の意見を発信すれば、直接の会話ができなくても脳は活性化する、と。

ブログを楽しみながら発信することで、結果として脳の活性化にもつながっている。
あらためて、ブログ仲間への感謝とアウトプットの大切さを実感する。

「生産性」と「創造性」を高める秘訣のひとつ、それは「計画的な休息」

 

メジャーリーグで大活躍中の大谷翔平選手。
大谷選手が睡眠を大切にしていることは有名だ。
WBCでともに闘ったヌートバー選手から食事に誘われた時、睡眠を理由に断ったことも話題になった。

「どれだけ寝れたかが一番。比較的ずって寝ている」との言葉から、「質よりも量」を確保することの大切さが伝わる。

そして、そのための更なるキーワードが「計画」だ。

睡眠を重要視する大谷選手は睡眠時間を確保するため「いつ寝るか」の計画を練るという。

「TIME OFF〜働き方に“生産性”と“創造性”を取り戻す戦略的休息術〜(ジョン・フィッチ/マックス・フレンゼル著 クロスメディア・パブリッシング)」という書籍に、「タイムオフ(休息)」の時間の重要性が説かれている。

業績を高める人は休息をしっかりと計画し、集中して仕事をするだけでなく集中して休むという研究結果が紹介されている。
業績を上げる人の傾向は、睡眠時間も多く、集中しなければならない仕事の間に睡眠を挟む。
余暇を計画し、仕事の侵入を防ぐ戦略を練ることが大切らしい。

業績を積み重ねる大谷選手の言葉と重なる。

厚生労働省は、2024年度から始める国民健康づくり計画「健康日本21」で定める数値目標を固めた。
その数値目標の項目の中に「睡眠時間」が設けられている。
健康上の問題がなく日常生活が送れる「健康寿命」は、2019年時点で男性が72.68歳、女性が75.38歳。
「十分な睡眠時間」も有効な手段のひとつに、健康寿命の延伸を目指す。

日頃、休息の優先順位を低くする人も多いのではないだろうか。
これから、もう少し「休息や睡眠時間のための計画を練る」ということに意識を向けてみても良いかもしれない。

健康や、生産性、創造性・・・。何より、人生を楽しむために。

栗山監督の退任記者会見からの学びー志の高さー

 

先日、WBC侍ジャパンの栗山監督が退任記者会見を行った。

読売新聞で紹介された主な一問一答は、次のような内容だった。

「野球の伝道師たれ、というお願いを選手にさせてもらった。日本の野球の素晴らしさをさらに伝えてくれると信じている」

「選手たちは色々な事情がありながら、日本野球のために集結するんだという姿を見せてくれた。全ての野球人が自分の都合を忘れ、全員が力を尽くすという形になったと信じている」

「スポーツの力の大きさを今回感じさせてもらった。そういったものが日本のスポーツ界にプラスになってくれるのであれば、すごくうれしい」

・・・など。

栗山監督の一言一言から感じられたのは、「一貫した志の高さ」だった。

以前、栗山監督は、北海道日本ハムファイターズの監督になる前、北海道栗山町青年会議所からのイベントのオファーをきっかけに交流が深まり、様々な活動を通じ地域に貢献している。
そのひとつが、町と連携してつくった天然芝の野球場だ。
多くの人々や野球少年に夢と希望を提供している。
まさに「言行一致」を感じる。

「志のみ持参(上甲晃著/致知出版社)」という書籍を思い出す。
松下電器(現・パナソニック)で営業課長をしていた著者が、創業者松下幸之助氏が創った松下政経塾に転勤となり、塾生の成長の関わりへの苦悩が綴られている。

そして、この書籍には、志の条件の一つとして「言行一致」が挙げられている。
平凡を徹底して、継続して積み重ねることで非凡となり、はじめて人の心が動き始める。

様々な報道で紹介された栗山監督のひとつひとつの言動のエピソードと重なる気がする。

大会が始まる前、栗山監督は、ダルビッシュに、変化球の投げ方やトレーニング法、食事や睡眠について選手に助言してくれるように依頼したという。
「これからの日本野球のため、全てが12球団に行き渡ったら、絶対日本の野球のレベルが上がる。頼む」と訴えたのだ。

この瞬間、栗山監督の志にダルビッシュの心が動いた。

結果、ダルビッシュは米国内で行う自分の調整を犠牲にして、宮崎キャンプ初日から参加し、選手に技術を惜しみなく伝え、チームの団結力・一体感につながった。

志、言行一致・・・

自分なりに少しずつ成長していきたい。
栗山監督への感謝とともに、そう感じる退任記者会見だった。

就職人気ナンバーワン企業の秘密 〜目に見えない価値〜

 

文化放送キャリアパートナーズは、来春卒業予定の就活生の人気企業ランキングを発表した。
1位は、3年連続で伊藤忠商事だった。
調査は、昨年10月〜今年3月に実施し、志望企業を1位から最大5位まで選ぶ方法で行い、2万4362人から回答を得た。

ネット記事にいくつかの人気の秘密が書かれていた。
グローバル企業で、様々な業界に展開している伊藤忠
社員教育や福利厚生も充実しており、成長できる環境を求める学生の人気を集めている。

数多くの記事の中で、特に印象に残ったキーワードは、「マーケットイン」だ。

これまで商社は、流通の川上で資源などを調達するのが主なビジネスだった。
しかし今、伊藤忠は消費者のニーズの視点から、商品やサービスを販売している。

マーケットインの事例を見てみよう。

バナナを扱う伊藤忠の子会社「Dole」。
埼玉・和光市の「ヤオコー」には、「Dole」のバナナが大量に並べられ、「1本から買える」量り売り形式で、大好評だ。

さらに、アパレル強化に乗り出した伊藤忠の子会社「ファミリーマート」。
靴下は約60種類も揃え、累計1000万足という大ヒットを記録した。

自分たちの売りたい商品を自分たち視点の方法で店に置くのではなく、消費者が欲する商品や販売方法で提供する。

なるほど。

何よりも、社員一人ひとりが、このマーケットイン思考で自ら考え、自ら行動できる企業文化や空気・雰囲気こそ、大きな魅力なのかもしれない。

以前に読んだ「目に見えない資本主義(田坂広志著/東洋経済)」で、著者はこう語っている。

かつて日本企業の優れた経営者が大切にしてきたもの。
例えば、「社員の目の輝き」「社員の働き甲斐」「職場の空気や雰囲気」「社員の和」「企業の文化」「顧客への共感」「社会からの信頼」などだ。

このような「目に見えない価値」を大切にしてきた、という。

目に見えない価値。

時々、仕事や人生を、この「目に見えない価値」という視点から、見つめ直してみるのも良いかもしれない。

「こどもの日」に考える「上手な勉強法」

 

今日は「こどもの日」だ。

国民の祝日に関する法律では、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日」とある。
母親を慈しむ日でもあるというのは、意外と知られていない気がする。

先日、「上手な勉強の方法がわからない、という悩みを抱える子どもが約7割。この3年間で増加した」というネット記事を読んだ。
東京大学とベネッセ教育総合研究所の「子どもの生活と学びに関する親子調査」によるもので、コロナ禍での生活の変化や混乱が背景にあると分析している。
「学習時間の長さと成績との相関関係は弱い」という調査結果も興味深かった。

では、「上手な勉強法」とは、一体どんな方法なんだろう。


「シンプルな勉強法(河野玄斗著/KADOKAWA)」には、東京大学医学部在学中に司法試験を一発合格した著者が、具体的、論理的に勉強の仕方について綴っている。

特に印象に残ったキーワードは「逆算勉強法」だ。

勉強を楽しむために目標と期限を決め、そのためのスケジュールを立て、進捗を確認する。
まさに「時間の有効活用」の重要性を説く。

経営思想家のドラッカー氏も、常々、「時間」について語っていた。
成果を上げるための秘訣は集中。
そのために仕事からスタートしない。
時間からスタートする。

そして、そのために時間を記録し、管理し、まとめる。
時間を大きなまとまりにして、最も大事なことに活用するのだ、と。

なるほど。

時間に追われるのではなく、時間をデザインする。

仕事の仕方も勉強の仕方も本質は同じだ。
どちらも楽しむために、チャレンジしたい。