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就職人気ナンバーワン企業の秘密 〜目に見えない価値〜

 

文化放送キャリアパートナーズは、来春卒業予定の就活生の人気企業ランキングを発表した。
1位は、3年連続で伊藤忠商事だった。
調査は、昨年10月〜今年3月に実施し、志望企業を1位から最大5位まで選ぶ方法で行い、2万4362人から回答を得た。

ネット記事にいくつかの人気の秘密が書かれていた。
グローバル企業で、様々な業界に展開している伊藤忠
社員教育や福利厚生も充実しており、成長できる環境を求める学生の人気を集めている。

数多くの記事の中で、特に印象に残ったキーワードは、「マーケットイン」だ。

これまで商社は、流通の川上で資源などを調達するのが主なビジネスだった。
しかし今、伊藤忠は消費者のニーズの視点から、商品やサービスを販売している。

マーケットインの事例を見てみよう。

バナナを扱う伊藤忠の子会社「Dole」。
埼玉・和光市の「ヤオコー」には、「Dole」のバナナが大量に並べられ、「1本から買える」量り売り形式で、大好評だ。

さらに、アパレル強化に乗り出した伊藤忠の子会社「ファミリーマート」。
靴下は約60種類も揃え、累計1000万足という大ヒットを記録した。

自分たちの売りたい商品を自分たち視点の方法で店に置くのではなく、消費者が欲する商品や販売方法で提供する。

なるほど。

何よりも、社員一人ひとりが、このマーケットイン思考で自ら考え、自ら行動できる企業文化や空気・雰囲気こそ、大きな魅力なのかもしれない。

以前に読んだ「目に見えない資本主義(田坂広志著/東洋経済)」で、著者はこう語っている。

かつて日本企業の優れた経営者が大切にしてきたもの。
例えば、「社員の目の輝き」「社員の働き甲斐」「職場の空気や雰囲気」「社員の和」「企業の文化」「顧客への共感」「社会からの信頼」などだ。

このような「目に見えない価値」を大切にしてきた、という。

目に見えない価値。

時々、仕事や人生を、この「目に見えない価値」という視点から、見つめ直してみるのも良いかもしれない。