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プロ野球リーグ優勝 ヤクルト・オリックス両監督から学ぶ「言葉の力」 

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今年のプロ野球の両リーグの優勝が決まった。

セ・リーグは、6年ぶりのヤクルト・スワローズ。
パ・リーグは、25年ぶりのオリックス・バファローズだ。

両リーグともに2年連続最下位のチームが優勝するのは、史上初だ。

読売新聞の優勝記事を読み進めていると、両監督の「言葉の力」が印象に残った。

ヤクルトの高津監督は、2年前の監督就任が決まった後、生前の恩師、野村監督の言葉に救われたという。

「(就任時は)最下位のチームや。それ以下はないんだから好きにやったらいいよ」
この言葉でずいぶんと楽になったのだそうだ。

負けが続いた時、高津監督は選手に「絶対大丈夫」と繰り返し励まし、10月23日に巨人に負けた後には、「腹くくっていったれぃ!」と記した紙を目につく所に貼ったという。

高いレベルを一方的に求めすぎた昨年を反省し、何でも自分でやるのをやめ、任せるところは任せた。
選手を信じ、言葉を大切にされたのだと思う。

オリックスの中嶋監督も共通点がある。
簡潔な言葉でヒントを与えるのが中嶋監督流だ。

変化球に悩む宮城投手には、「少し上から投げたら変わるかもよ」と簡潔に助言した。
宮城投手は、こう振り返っている。
「こうしろと言うのではなく、考えさせてくれた」と。

打撃に悩む紅林選手には「俺も2年目はそんなもんだった」と気分を和らげたらしい。

今年32本のホームランを打った杉本選手も、次のように語った。
「ボール玉に手を出していた時、今は相手投手の方が、お前との対戦を嫌がっている。ガツガツ行きすぎるな、の言葉に自信が持てた」と。

「言葉の力」は偉大だ、と思う。

こう感じた瞬間、以前読んだ「経営者が語るべき言霊とは何か(田坂広志著/東洋経済新報社)」を思い出した。

著者は、次のように語っている。

経営の世界において大切なことは、
「何を語るか」ではない。
「誰が語るか」である。

なるほど、そうか。

「言葉の力」は、単なる言葉の表現力や技術ではない。

相手を思い、信じ、心から醸し出された言葉。
だからこそ、言葉に力がみなぎるのだろう。
だからこそ、その言葉に触れた人は、安らぎを覚え、笑顔になれるのだろう、そう思う。

杉本選手は、こうも語っている。

「自分の可能性を信じてくれた中嶋監督に恩返ししたいと強く思っていた」と。

経営者やリーダーだけのものではない「言葉の力」を大切にしていこう、と思う。