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栗山監督の退任記者会見からの学びー志の高さー

 

先日、WBC侍ジャパンの栗山監督が退任記者会見を行った。

読売新聞で紹介された主な一問一答は、次のような内容だった。

「野球の伝道師たれ、というお願いを選手にさせてもらった。日本の野球の素晴らしさをさらに伝えてくれると信じている」

「選手たちは色々な事情がありながら、日本野球のために集結するんだという姿を見せてくれた。全ての野球人が自分の都合を忘れ、全員が力を尽くすという形になったと信じている」

「スポーツの力の大きさを今回感じさせてもらった。そういったものが日本のスポーツ界にプラスになってくれるのであれば、すごくうれしい」

・・・など。

栗山監督の一言一言から感じられたのは、「一貫した志の高さ」だった。

以前、栗山監督は、北海道日本ハムファイターズの監督になる前、北海道栗山町青年会議所からのイベントのオファーをきっかけに交流が深まり、様々な活動を通じ地域に貢献している。
そのひとつが、町と連携してつくった天然芝の野球場だ。
多くの人々や野球少年に夢と希望を提供している。
まさに「言行一致」を感じる。

「志のみ持参(上甲晃著/致知出版社)」という書籍を思い出す。
松下電器(現・パナソニック)で営業課長をしていた著者が、創業者松下幸之助氏が創った松下政経塾に転勤となり、塾生の成長の関わりへの苦悩が綴られている。

そして、この書籍には、志の条件の一つとして「言行一致」が挙げられている。
平凡を徹底して、継続して積み重ねることで非凡となり、はじめて人の心が動き始める。

様々な報道で紹介された栗山監督のひとつひとつの言動のエピソードと重なる気がする。

大会が始まる前、栗山監督は、ダルビッシュに、変化球の投げ方やトレーニング法、食事や睡眠について選手に助言してくれるように依頼したという。
「これからの日本野球のため、全てが12球団に行き渡ったら、絶対日本の野球のレベルが上がる。頼む」と訴えたのだ。

この瞬間、栗山監督の志にダルビッシュの心が動いた。

結果、ダルビッシュは米国内で行う自分の調整を犠牲にして、宮崎キャンプ初日から参加し、選手に技術を惜しみなく伝え、チームの団結力・一体感につながった。

志、言行一致・・・

自分なりに少しずつ成長していきたい。
栗山監督への感謝とともに、そう感じる退任記者会見だった。