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「アウトドアメーカー、スノーピークの発展の秘訣」から日常に活かすキーワード〜「目的と手段」と「好きのレベル」〜

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カンブリア宮殿」にアウトドアメーカー、スノーピークの2代目 山井太会長が出演していた。
高品質なキャンプ用品を自社開発し、スノーピーカーと呼ばれる熱狂的なファンも多い。

スノーピークの発展の秘訣から、日常に活かす2つのキーワードが頭の中を駆けめぐった。

それは「目的と手段」と「好きのレベル」だ。

スノーピークは1958年、太会長の父である幸雄氏が、大工道具などを扱う金物問屋「山井幸雄商店」を創業したのが始まりだ。

幸雄氏はロッククライミングが大好きで、市販の登山道具に満足できず、何と自分で設計し、
その道具が、登山ブームとも重なって飛ぶように売れた。

やがて登山ブームは去り、会社が危機に陥った時、窮地を救ったのが太会長だった。
ちょうどオートキャンプのブームが起こり、子どもの頃からキャンプが大好きだった太会長は、自分でテントを作る決意をしたのだ。
その後もユーザーの心に響くものづくりを続け、熱狂的なファンは増え続けた。

そして次に登場したのが、3代目 娘の梨沙社長だ。

国内でキャンプをする人はまだまだ少なく、わずか6%。
事業の限界が見えてきていた。
社内でも不安に包まれる中、ファッションが大好きだった梨沙社長は、当時、デザイナーとして入社し、アウトドアウエアへの不満から、アパレル業界とアウトドア業界を融合するという、業界では非常識なことを成し遂げたのだった。

そこで生まれたのが「街でもキャンプ場でも着たくなる服」だ。
機能性とファッション性を両立させたアパレル事業は大成功し、これをきっかけに、事業の多角化や他企業とのコラボが進み、発展の可能性が広がった。

7年前、キャンプ用品の会社が、「キャンプ用品の提供が目的ではなく、キャンプの力を手段にして、衣・食・住・働く・遊ぶ、全てにアプローチする会社」に変容したのだ。
まさに事業コンセプトの大転換だ。

ふと、スターバックスが頭によぎった。
数あるコーヒーショップの中から、なぜスターバックスは多くの人々から支持されるのだろう。
確かにコーヒーは美味しい。
でも、単にコーヒーを提供することではない事業コンセプトこそに魅力がある。
それが、「サードプレイス」だ。
自宅や職場・学校ではない「第3の居場所」。
「美味しいコーヒーの提供が目的ではなく手段にして、心地よく、くつろげる居場所を提供する会社」なのだ。

ビジネスだけでなく、日常でも参考にできそうだ。
「目的と手段」という視点で考えてみる。
手段が目的化してしまっていることはないだろうか、と。

以前、有名なユーチューバーが語っていた。
「いつの頃からか、動画の配信そのものが目的化してしまって、毎日が苦しくなっていた。動画の配信は幸せな人生を送るための手段だったのに」と。

時々、何のためにしていたんだろう、何をしたかったんだろう、と立ち止まって考える時間をつくるのも良いかもしれない。
本当に実現したい目的を考えると、世界が広がり、手段もはっきりしてくるかもしれない。

話を太会長に戻そう。

太会長は、
「大好きなユーザーとして、ものを作れば、欲しい人は必ずいる」
「父も僕も娘も、好きのレベルが変態レベル」
と語った。

スノーピークの本社の周りは広大な野原でキャンプ場にも使われている。
太会長は、年間40〜60泊はキャンプをし、月1回は本社の周りのキャンプ場から通勤していると言う。

確かに「好き」のレベルがケタ違いだ。

自分の本当に好きなことは何だろう。
無我夢中になれることは何だろう。
時間を忘れて没頭できることって何だろう。

もっと、人と「好きなこと」を語り合う時間があっても良いかもしれない。
もしかしたら、「好き」の感覚は自分ではわからないけれど、自分の「好きのレベルが桁違いである」ことを、身近な人から気づかせてもらえるかもしれない。