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「秋の読書習慣」と「直木賞作家 今村翔吾まつり旅」に思う、「やってみよう精神」の大切さ



全国の出版社や書店など、幅広く参加する「秋の読書推進月間(仮称)」が、今秋、開かれる予定だ。
「読書の秋」と呼ばれる時期には「読書週間」や「読書の日」など、様々な活動が展開されてきたが、今回の読書推進月間は、期間を10月27日から11月23日まで、28日間と大幅に広げるという。

取り組みの背景には、出版不況と書店の減少があるようだ。
2021年の紙の出版物の売り上げは、ピークだった1996年の3分の2以下にとどまる。

電子書籍もいいが、紙の匂いや温もりを感じながら、実際本を手にとって読む時間は格別だ。
健全な危機感からの取り組みが、より良い方向に向かうことを願う。


今、直木賞作家の今村翔吾さんが、全国47都道府県の書店や学校をめぐっている。
「今村翔吾のまつり旅 47都道府県まわりきるまで帰りません」と名づけた旅だ。
講演会やサイン会を通して読者や子どもたちと交流し、業界を元気づけようとしている。

今村さんは、幼少期、「本嫌い」だったらしい。
好き嫌いが逆転したのは小学5年の夏。
近所の古書店にあった一冊の本との出会いが、今村さんの人生を変えた。
その本は、池波正太郎の「真田太平記」だった。
夢中になり、その後、「歴史」と名のつく本はなんでも読みふけった。
さらに作家への憧れが募り、高校の卒業文集に書いた将来の夢が「作家」だった。
32歳で夢が現実になり、その5年後、直木賞を射止めた今村さんの次の言葉に説得力を感じる。

「夢を持つ大切さを子どもたちに伝えたい。やりたいことを迷っている子がいたら、意外とおもろいからやってみ、と伝えたい」
「たまたま目に入ってきた本が人生を変えるかもしれない」

今村さんは、こう続ける。
「今後、挑戦したいテーマは坂本龍馬。まつり旅で、地球1週分歩いたと言われる龍馬の肌感覚がつかめると思う。道中ばっかり書く龍馬もおもろいかもしれん」と。

少年のような今村さんの笑顔が印象的だ。
人生、やってみなければわからない。
やらない後悔より、やって後悔する方がいい。
そう感じた。

「やってみよう精神」が、夢や可能性を広げていく。