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「秋の読書推進月間」と「安藤忠雄氏」と「挑戦心」



10月27日から「秋の読書推進月間」が始まった。
その前後に様々な世論調査が行われている。

そのひとつが、全国学図書館協議会調査だ。
小学4年生〜高校3年生の5月1ヶ月の平均読書冊数は、小学4〜6年生は6.5冊から13.2冊、中学生は2.1冊から4.7冊へと倍増した。
小学生で朝に読書の時間をとる「朝読書」の広がりなども要因と考えられている。
一方、1ヶ月に1冊も読書しない割合は、男子の場合、中3生で31%、高3生で68.5%に上るようだ。

また、読売新聞社の全国世論調査では、児童書などを集めた子ども向け図書館をもっと増やすべきだと思う人が71%に達したという。

子どもたちに読書する環境を求める人が増えている。

同じ全国世論調査には「どういう図書館なら利用したいか」という問いがあった。
その最も多い回答が「自宅の近くや通勤・通学途中で利用できる」の利便性(40%)だった。
ただし、コロナ前の2017年と比較すると10ポイント低下した。
一方、2位の「閲覧スペースが広いなど居心地が良い」の快適さ(37%)は8ポイント増加している。

この「子ども向け図書館」と「居心地」と「快適さ」のフレーズで頭に浮かんだ図書館がある。

安藤忠雄氏が設計した、大阪府中之島にある文化施設「こども本の森 中之島」だ。

全面本棚の壁で囲まれた三層吹き抜けの空間。
階段、ブリッジ通路が立体迷路のように巡る建物内部。
本の隙間から見える堂島川の素敵な風景。
子どもたちは、気になる本を、階段や水際テラスなどのお気に入りの場所で自由に楽しむ。
まさに「子どもたち主役の本の森」だ。

安藤忠雄氏は、鉄筋コンクリートを使用することにこだわりを持つ。

その理由は、現代においてそれが最も「ありふれた」存在だからだそうだ。
「世界中どこでも、誰でも可能な方法で、世界のどこにもない、誰にもできないものをつくりたい」という挑戦心が一番の理由という。

兵庫県立美術館や直島の地中美術館など、安藤氏設計のいくつかの建築物を訪れたことがあるが、どれもシンプルで美しい。

まさに「神は細部に宿る」だ。

シンプルな素材ほど、設計者の強い思いと高度なスキルによって、細部にまで凄みが際立つのかもしれない。

安藤氏の情報をネットで見ると意外な発見があった。

安藤氏は、工業高校を卒業した後、大学には経済的・学力的な理由でいけないことを受け入れ、働きながら自学した。
海外を飛びまわり建築行脚もし28歳で事務所を開設。
常に挑戦心を持ち、大病を患っても、現実を受け入れ生活を一新し健康を維持している。

安藤は語る。
これからは、自分の夢や生き方を自分で探し、創っていく時代になるだろう。
自分の道を自分で考え、逆境をチャンスに変えていってほしい。
・・・と。

現実を受け入れ、そこから、自分の道を自分で考え、挑戦し続ける。
勇気をもらえた気がする。

秋の読書習慣。
お気に入りの本を楽しみ、これから自分が挑戦する道を探すのもいいかもしれない。